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読書日記 2004年3月31日更新
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2004/3/17
『ライオンと魔女改版』

著 者:C.S.ルーイス/瀬田貞二
出版社:岩波書店
発行日:1991年09月
本体価格:1,700円
その衣装だんすは、まるで私が再びここに戻ってくることをずっと前から知っていたかのように、ひっそりとそこにありました。

ナルニア国での冒険に心を躍らせた頃からもう何年も経ちました。様々な経験を積み、少しは世の中がわかるようになって、あまり人に迷惑をかけないようにやっていく方法も身につけました。もう二度と空想の世界で遊ぶようなこともないだろうと思っていました。それなのに、ふとこの本のことを思い出し、物語の最初の数行を読んだだけで、いとも簡単にあの冒険が始まった雨の日に引き戻されたのです。

空襲を避けて、ロンドンから疎開した片田舎の古いお屋敷。その日は朝からどしゃ降りで、退屈した4人の子供達は、長男ピーターの発案であるじの学者先生すらすべてを把握できないほど古いこの屋敷内を探検することになりました。古い絵や書物でいっぱいの部屋を一部屋ずつみてまわるうち、衣装だんすが一つあるだけのがらんとした部屋に行き当たります。他の子供たちが行ってしまってから、なぜか末っ子のルーシーだけがこのたんすが気になり、そっと開いてみたのです。それが広大なナルニア国への冒険の始まりでした。

ルーシーが足を踏み入れたナルニア国は、その歴史の上でももっとも過酷な時代でした。白い魔女の独裁下にあり、何年もの間寒い冬が続き、楽しく歌い騒ぐことは禁止され、批判するものは警察にしょっぴかれて石にされてしまうのです。長すぎる冬に誰もが疲れ、絶望する中、ひそかな情報がもたらされます。「アスランが動き出したらしい。」その言葉に、誰もが希望を取り戻します。建国の父、偉大なライオンアスランがナルニアを救うため、動き出したというのです。

大人になって改めて読んでみて、やさしい言葉で書かれた物語でありながら、その奥の深さに驚かされます。ゆるぎない信念に貫かれた物語というのはこれほど強いものかと思いました。

『ライオンと魔女』からはじまるナルニア国物語は全7巻で、ナルニアの建国から滅亡までの壮大な物語です。本国イギリスでは神学者としても名高いC.S.ルイスが子供向けに書いた本はこのシリーズのみということですが、世界中の子供たちに愛され、長い間読み継がれていることを思うと、子供心をつかむストーリーテラーとしても秀逸だったにちがいありません。

私を読書という心の冒険に連れ出してくれた最初の本もまた、このシリーズでした。読者がいつどこにいようが、優れた本はその世界に引き込みます。本の数だけ、宇宙があると思うと、書店には様々な世界に通じる「衣装だんす」がずらりと並んでいるようなものですね。

読書日記は終わってしまいますが、これからも皆様がよい本に出会い、心の冒険を楽しまれますよう、また、楽天ブックスが少しでもそのお手伝いができればと願っています。ずっと読んでくださった皆様、どうもありがとうございました。
【楽天ブックススタッフ 真】


【読書日記】では、楽天ブックススタッフが自分たちの読んだ本を日記形式で紹介していきます。

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