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読書日記 2004年3月31日更新
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2004/3/15
『遠い朝の本たち』

著 者:須賀敦子
出版社:筑摩書房
発行日:2001年03月
本体価格:580円
好きな本の話をすることは、とても気恥ずかしいもので、どこがどんなふうに好きなんだ、なんてことを語るのは、まさに赤面ものです。しどろもどろになりながら、汗だくで説明するようなことではないのだけれど、思いのたけに届かない言葉のもどかしさにジタバタしたり。愛読書を表明して、自分のイメージを覆したい、と思っているわけではないけれど、ほら、意外な趣味を持っている自分などもたまにはお見せしたい。自慢か。いや、そうではなくて。大切なものが見つかったよ、という喜びを伝えたかったのです。貴方に。私には、こんなにも面白い本なのですよ、の「私には」が、是非、「貴方にも」になりますように、なんて、殊勝に思っている、のかどうか、ともかく、温めつづけていた大切な打ち明け話をするように、ひそかな決意を持って、好きな本についての話をしたかったのです。できれば、静かで、力強く、美しい言葉で。とはいえ、なかなかうまくいかないものです。本で語っているのか、本を語っているのか。本当にしたかった話はなんなのだろう。時として、意味を見失いもする。曲解されることもあるし、「ペダンティックの謗りを免れない」こともある。誰かの気持ちに、少しでも届いたこともあったのでしょうか。営利サイトのコーナーでありながら、ただ好きな本についての話をして良し、とさせてもらっていた、この「読書日記」は、今月でなくなります。もとより本について語られる美しい言葉は、本の中にこそ沢山あって、いましばらく、そうした言葉たちと一緒に静かに暮らしたいなと思います。ということで、このコーナーへの私の最後の登場に際しては、本を読むことについて語られた美しい一冊をご紹介したいと思います。

須賀敦子さんの『遠い朝の本たち』は、幼少期からの読書についての記憶が、飾らない言葉で、綴られた本です。本をめぐる追想。女性が職業婦人として自立し、生きていくには厳しい時代に(須賀敦子さんは1929年生まれ)、ひとりの女の子が、その成長過程において、沢山の書物に影響を受けながら、自分の考え方や生き方のスタイルを見つけ出していく様子が、エッセイの中から浮かびあがってきます。須賀敦子という人の感性と思惟を、好ましく感じている人にとって、いかにしてその感受性が育まれたのかは興味深いものではないかと思います。『プルターク英雄伝』『ケティ物語』『愛の妖精』を、彼女が、どのように読んでいたのか。また、サンテグジュペリやリンドバーグ夫人の文章が、彼女の考え方にどのような影響を与えたのか。人生を渡っていく上での励ましとなり、戒めとなり、「精神の羅針盤」として、「ふいに壁につきあたって先が見えなくなるたびに」自分の進むべき方法を教えてくれた言葉たちとの出会い。極端なことを口にすることなく、しなやかな知性と豊かな感性の均衡を、静謐な文章で伝える須賀さんのスタイル。その裏には、なにをどのように語るべきか、どのように考えて行動を起こすべきか、真摯につきつめる強い意志がある。一人の人間の精神を培ってきた、「本を読む」という行為の意味をあらためて考えさせられます。清涼で静かな本でありながら、凛然とした「覚悟」を同時に感じる、個人的には須賀敦子さんの著作のベストです。人生の「曲がり角」で立ち止まった時に進むべき方向を示唆してくれる一冊、となるかどうかわかりませんが、ともに読書の楽しみをわかちあえる方たちが慈しんでやまない素敵な本です。是非、ご一読いただければ幸いです。

書店員と言いつつも、スタッフ部門である私は、通常の会社員とあまり変わりなく、読書に関しても「趣味」の領域を出ていません。今年に入ってからは、専門書とビジネス書、資格試験の参考書とソフトウェアのマニュアル本が読書のすべてでした。平均的な三十代の会社員がどのような読書生活を送っているのかわかりませんが、昨今の興味の大半は、仕事に関わることになってしまったもので、文学セイネンがいつの間にかビジネスマンになっていることの不思議に、自分ながら驚いています。先日、経理・経営関連書で著名な金児昭さんの『「連結」の経営』という本を、業務の参考にと読んでいたところ、テクニカルな解説の部分はさておき、経理担当者として働くことの責任と矜持を語られた部分が不思議と胸に迫り(なんだか熱い本なのです)、ちょっと感動してしまいました。ミステリーでも、純文学でも、SFでも、児童書でも、ノンフィクションでも、自分が本を読むことは、絶えず、人間の心のあり方についての興味関心によるもので、濫読のようでも統一性はあったのですが、趣味の読書とは別ものと思っていたビジネス書でも、こんな気持ちになるとは。まだまだ本との不思議な出会いはあるものなのですね。少し背筋を伸ばして、より良く働き、日々を生きていかなくてはと思い直し、このささやかな「転機」に嬉しくなりました。これからも多くを読み、多くを感じていきたいものだと思います。小さなきっかけは、本の数だけある。人生を変えるほどの大きな転機とはならなくても、その読書の先には、少し違った自分がいるのかも知れません。なんて。それでは、これで。さようなら。
【楽天ブックススタッフ 知】


【読書日記】では、楽天ブックススタッフが自分たちの読んだ本を日記形式で紹介していきます。

新刊本・未刊本・絶版本。定番から変わった本まで、いろいろな本が登場します。ほぼ日替わり、何が飛び出すか、乞うご期待!
皆さんが読んだ本、良かった本、面白かった本も、私たちに教えて下さい。
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