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| 2003/5/2 |
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『井深さんの夢を叶えてあげた』
著 者:木原信敏 出版社:経済界
発行日:2001年09月 本体価格:1,333円
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ソニーがなぜ新しいものを創り出してこれたのか、このタイトルがある意味象徴しています。井深さん盛田さんがいかに夢を語り、「技術屋」を信頼し、環境をつくり、そして木原さんがそれに応えて、モノづくりをしてきたか。人が何で動くかというと、それはやっぱり、夢であったり、「このヒトのために」というヒトであったりする、そういうことを改めて感じさせられました。
木原さんは、「技術屋」という言葉を使っていらっしゃいます。その言葉には、「モノづくり」に携わる者のプライドがこめられているのを感じます。「こういうものを作ろうよ」「よーし、じゃあ作ってみますよ。ほら、できました」「すごいね。次はここをこうしてもっとよくしようよ」「わかりました。はい。改良しました」「いいねぇ」。夢を語る人と、それにチャレンジしてプライドにかけていいものを作ろうとする人との、こんなやりとりが浮かんでくるようです。ここで両者の信頼関係は絶対欠かせません。日頃から現場に顔を出し、話し込んで開発の途中の道筋を知っている井深さんの言葉だからこそ、それに応えようという気持ちも持てるわけです。
逆に井深さん側の立場からするとどうでしょう。開発側の仕事がなかなかうまくいかず、自分の思ったものがなかなかできあがらないとき、頭ごなしに「早くやれ」「こんなものはだめだ」「ほかの人に頼むぞ」と言ったのでは、信頼関係がずたずたになってしまいます。もしかしたら、ほんとに開発現場の人の能力が足りないのかもしれない、ほかの外部の人に頼んだほうがいいのかもしれない、井深さんがそう思ったことはなかったのかと、失礼ながらふと思いました。でも、木原さんの言葉から伝わってくるお二人の関係は、発注者と受注者ではなく、立場は違えど一緒にモノづくりの夢に向かっているという一体感のある関係です。だからこそ、「井深さんの夢を叶えてあげた」というタイトルがぴったり感じられるのでしょう。「命令と目標は全く違う」と木原さんは語っています。「目標」で刺激されて、「技術屋」が精魂傾けていいモノを作るという、打てば響く理想的な関係ができあがっていたのでしょう。
「CCDを使ってビデオカメラを作るんだ。競争相手は電機メーカーではない。フィルムメーカーの、イーストマン・コダック社だよ」。これがなんと1973年に岩間さんが言った目標だそうです。今では誰も疑わないでしょうが、その当時でフィルム写真の画質に挑戦するとは、目標を選ぶ目の確かさに驚かされます。「ソニーの原点はモノづくりにある」とのこと。モノづくりの作り手を大切にするヒトがいて、すぐれた技術力を持ってそれに応えていくという、そんなパートナー同士が巡り合えれば、モノづくりとしてこんな幸せなことはないだろうなと、木原さんをうらやましく思います。そして、自分自身もそうありたい、という夢も。
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【楽天スタッフ 笑】 |
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