この本は今、実家の書棚の片隅に押し込んであります。初めて読んだのは高校3年生の受験勉強の真っ只中。そんな場合じゃないときに限って関係ないことをしたくなる癖はずっと変わらないようです。60年代にヒッピーのバイブルみたいな扱いを受けていたあまりにも有名な小説ですが、80年代の高校生の心にも何かを訴えかけたらしく、あちこちにボールペンで線が引いてあります。初恋のころ書いたポエムを読むようなこっぱずかしい気持ちと、少しばかり世の中のことを知った気になっている今の自分の汚れ加減を情けなく思う気持ちがないまぜになって複雑です。若かったな・・・。
何を思って線を引いたのかわからない箇所もありますが、今でもよく覚えているところもいくつかあります。中でも、世の中のいろんなことにダメ出しをしていくホールデンが妹フィービーに「じゃあお兄ちゃんはいったい何がしたいの?」と訊かれたときの返事は無力感を伴う終わり方につながって、胸を締めつけます。
それから、ホールデンがめずらしく褒めていたアイザック・ディネーセンの『アフリカの日々』は長年私の「無人島に持って行きたい1冊」の地位を不動のものにしてます。
もうすぐ、村上春樹訳で40年ぶりによみがえるホールデン。人ごみに流されて変わっていく私に何を言ってくれるのでしょうか。とても楽しみです。
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