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| 2003/4/25 |
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『火の粉』
著 者:雫井脩介 出版社:幻冬舎
発行日:2003年02月 本体価格:1,600円
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既に【瑞】さんが読書日記を書いていますが、やはり面白い本を読むと、一言もの申したくなり、書かせてもらいます。例によって、ネタばれがあるので、未読の方はご注意下さい。
一家惨殺という凶悪犯罪の犯人として逮捕された武内。
しかし、自白はあるものの、証拠は少なく、動機も曖昧。結局、冤罪として無罪判決が出るが、その後、武内は、判決を下した裁判官、梶間の隣に引っ越してきて、家族の輪に溶け込んでいく。「いい人」の見本のように、何かと気を使い、家事の手伝いまでこなす武内。しかし、武内が現れた時から、家族の間に不協和音が生まれていく。武内を怪しむ者、しかし証拠がない…その態度が武内を好む者との間に溝を作り、やがてそれは決定的に深くなり、家族は崩壊していく。武内は本当に冤罪だったのであろうか、それとも…
かなり面白く、一気に読むことができました。ただ、実は、読む前に仕入れた知識から、この作品は、映画になった「39 刑法第三十九条」のように、司法の矛盾を突く作品なのかな、と勝手に思いこんでいたため、少し拍子抜けしてしまいました。
武内が犯人であったのかどうか。もちろん、冤罪であるならば、これは重大な問題であり、また、犯人であるならば「一事不再理」の原則が立ちはだかり、そして、無罪判決を下した裁判官との関係はどうなるのか。どっちに転んでも、これは面白い展開です。また、武内が裁判官一家に近づく動機は何か?無罪判決を下した裁判官に復讐する理由はないわけで、これは裏に何かある、とページを捲る手が止まりませんでした。
それを考えると、やはり、犯人が最後に死んでしまうのはどうかと思います。(未読の方、ごめんなさい)読み手としては、今回の事件をマスコミがどう扱うのか、司法の問題がクローズアップされ、世論を動かし、どのような判決が下るのか。そして、崩壊した家族の絆がどうなったのか。というような、後日談のようなものを期待するわけで、犯人は死にました、後は読者の皆様のご想像におまかせします。という余韻を残した終わり方は、不完全燃焼でした。
どうでもいいですが、読みながら、卒業論文で調べた冤罪事件のことを思い出してしまいました。その時にも感じたのですが、やはり捕まったら黙秘が一番なようです。 |
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【楽天ブックススタッフ 久】 |
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