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| 2003/4/24 |
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『パリの香り、夢みるピアノ』
著 者:中井正子 出版社:ショパン
発行日:2003年04月 本体価格:1,300円
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これを読んで驚く人が多そうですが、実は私は3歳の頃から10年間ほどピアノをやってました。昔、ほのかな恋心を抱いていた人が「俺、ピアノ弾ける女の子が好きなんだよねぇ」なんて言ってたのを小耳に挟んで、さりげなくその人の目の前でポロンポロンとピアノを弾いたりしたところ「お前が弾くとピアノの美しいイメージが狂うからやめてくれ」って言われてしまい目の前を真っ暗にしたのを想い出しました。ガーン。
本を読みながら脈絡なくそんなセピア色(いや、真っ黒か)な想い出に浸ってしまいました。考えてみたら練習嫌いの私は人に聞かせられるような音楽を奏でられたはずはなく、自業自得だったかも。
この本は中井正子さんというピアニストの記録です。本の構成を手掛けた山本美芽さんとやりとりがあったご縁でこの本に出会いました。前述のように一応はその世界の端っこのそのまた欠片をかじった事がある手前それなりに興味はあったのですが、自伝と言うほどには堅苦しくなく、とはいえ独特の雰囲気を持った世界にはぐんぐん引き込まれて気づけば一気読み…という状況でした。第1章に“練習嫌い”というタイトルが付いています。「あーやっぱりこんなプロでも練習がイヤなことってあるのよねぇ」と妙に親近感を持って読み始めたものの、嫌いという記述は1ページも無くそれをカバーする「それでもピアノが好き!」という圧倒的なパワーにいきなり呑み込まれてしまいました。
普通の家庭でここまでバックアップすることはなかなか難しいのかなと思うような点もいくつも見受けられます。そしてこれまた人にも恵まれているんです。読み始めはそんな皮肉な思いにとらわれることがしばしばありましたが、本場の教育を受けるために日本を飛び出すあたりからがハラハラドキドキの始まりです。10代半ばでほとんど言葉も不自由なままパリの街に飛び込みパリ音楽院に留学するのです。もちろん日本で一般的とされている音楽教育とは相当の違いがあるあちらの専門教育です、それはそれは辛いこともあったでしょう。読んでいるこちらの方が壁の大きさに立ちすくむくらいです。でも中井さんはそれを「とにかくピアノが好き!」の一心で飛び越えていくのです。人の成功物語というのはあまり好きになれない部類の本なのですが、今回は心底すごいなぁと素直に感心しました。私なんか勝手に自分の壁を作ってそこから出る努力もせずに勝手にもがいてるものなぁ。
音楽を志す人にはもちろんですが、何かを目指して留学したいと思っている人にも必ず何らか得るものがあるはずです。たまにはこういうのもいかがですか? |
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【楽天ブックススタッフ 瑞】 |
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