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| 2003/4/22 |
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『重力ピエロ』
著 者:伊坂幸太郎 出版社:新潮社
発行日:2003年04月 本体価格:1,500円
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待ちに待った伊坂幸太郎さんの作品です。
と、書いておいてなんなんですけど、実はこれは結構前にゲラで読ませていただいたのです、でもこうやって素敵な装幀に身を包んで世に出てくるとまた感慨が深いものです。雰囲気がミステリミステリしていないので「あらステキ!」ってな感じで手にとってくれる人が増えたら良いなぁ。。(と、心はもうすでに送り出し手の側です)伊坂さんと言えば、先月『陽気なギャングが地球を回す』の事を書きました。(実はそれより前にこちらを読んでいたんですな)で、収束への時代劇的な安心感がある事を懸念点としてあげたんですけど、それをうち破ってるんじゃないかなと思うのですよ。この新作は。
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春が二階から落ちてきた。
私がそう言うと、聞いた相手は大抵、嫌な顔をする。気取った言い回しだと非難してきたり、奇をてらった比喩だと勘違いをする。そうでなければ「四季は突然空から降ってくるものなんかじゃないよ」と哀れみの目で、教えてくれたりする。
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なーんてな出だしの一節を読むと、格好つけすぎじゃないのか?と退いてしまう人もいるかもしれませんがこれが伊坂テイストであり伊坂マジックなのです。なんとなく小洒落てて、どことなくクールな文体を味わっているうちに気づけば事件のまっただ中にいるというのがいつものパターン。今回も顔が見えているようで見えてこないこの家族に翻弄されながらいつしかパズルを一緒に解き始めていました。彼らが巻き込まれた事件とは連続放火事件。なぜか必ず現場近くには意味不明のグラフィティーアートが残されているのです。それに気づいた兄弟とその父親(ガンで入院中)の調査と会話で物語が進みます。暗号解読と謎解きを満喫できるんだけど同時にクールな若者のカッコよさも味わえるという豪華なつくりです。
これ以外にも様々な仕掛が張りめぐらされているので、十分注意して読み進めてください。私も何点か確認したいところがあるのでもう一度読んでみます。それはともかく、伊坂さんの小説を読んでいる時には口元だけでニヤリとして「やられたな」って顔をすることがきっと多いのだろうと思っています。(そんな自分を思いかえすとちょっと恥ずかしい…)でもその「やられた」を味わいたさに新作を待ち望んでしまう。。。ほんと、参りました。
そうそう、そろそろ良くも悪くも格好良すぎる登場人物たち(取り乱す人ももちろんいるんだけど、なんとなくステレオタイプな乱れ方だと思う…)には少しお休みしてもらって。今度は心から泣いたり笑ったり怒ったり傷ついたりするキャラクターを読ませてください。わがままな読者ですみません。 |
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【楽天ブックススタッフ 瑞】 |
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