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| 2003/3/18 |
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『ベリィ・タルト』
著 者:ヒキタクニオ 出版社:文藝春秋
発行日:2002年05月 本体価格:1,524円
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アイドルの作り方って知ってますか?な〜んて軽い言葉で語れるほど、軽い物語じゃなかったです。女衒(って言葉もすごいけど)の関永がアイドルを“固く焼き上げたパイ生地の中、ねっとりと流し込まれたカスタードクリームの海に、身を沈めかけたベリィ。それも蜜とワインで甘く煮つめられたもの”と評します。ふわふわの生クリームに彩られたメルヘンチックなショートケーキとはほど遠いところに位置していますね。それゆえ、この物語も濃密かつハード。でもドキドキしながらページをめくっていくうちにあっという間にエンディングでした。
なんたって登場人物が魅力的です。アイドルとして磨かれていくリン。胡散臭い芸能プロ社長として登場しながら、その男らしさでリンはもちろん読み手も魅了していく関永。関永の義兄弟で過去を引きずりながらも、健康オタクになっている小松崎(あ〜でもこの人がまたたまらないのよね)。&オカマの美容師、仁。立ちすぎるくらい立っているキャラはまるで物語の世界からはみ出してきそうなくらい。そうじゃなかったら日本版『マイ・フェア・レディ』になっちゃったでしょうね。このプロデューサーたちがよってたかってリンを教育するのだけれど、リンが磨かれて変身していくというよりは内包している魅力的な部分を掘り出していく作業のようなのです。そのキラキラ感がたまらなく良かったですね。
そうこうして露出が増えていくリンは、そのあふれ出る魅力と原石の輝き故に大手プロダクションの横槍の被害に遭うことになります。ここから起こるドンパチ(出てきたのは日本刀だったっけな)がまた見所。単なる商品としてのリンを守のではない男達の姿が美しい!元ヤクザってことで退いてしまう読者も多そうだけど、それはもったいないですよ。ありえない設定に「んなわけないじゃん!」といちいち突っ込みを入れながらも、事実としてあり得ない事を楽しめるから小説は面白いんだということを再確認しました。あ、でも魑魅魍魎が跋扈する芸能界のことだから、これに近いことはあるのかなぁ
・・・・ここから一部ネタばれを含むので、読んでない方立ち入り禁止・・・・
非常に面白い部類に入る小説だったのに、叫ばずにはいられないところがいくつか。せっかくなので列挙しちゃいます。
(1)確かに女の子は守ってくれる人に弱い、そして関永にゃあ惚れちゃいます。でもねぇ、そこでそう来るか!あのベットシーンは不満〜
(2)やっぱり蘊蓄はちょっと多すぎじゃあないかと、まあ個人的には嫌いではないですが…
(3)男達がリンをやせ我慢で見送る姿は素敵ながらオチはう〜む。
しかし、どんな素材を与えられてもまずは恋愛小説として読もうとする自分にもちょっと反省しています。 |
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【楽天ブックススタッフ 瑞】 |
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