地球○○軍VS○○○帝国や二足歩行ロボットの話も良いですが、たまにはリアリティある宇宙空間を描いた物語は如何でしょうか?
時代は今から約70年後の未来。「デブリ」と呼ばれる地球周回道上を「秒速8km」で飛び回る宇宙ゴミ(使用済み衛星、太陽電池など)を拾うデブリ回収業者をしている3人の物語です(後に重要な人物が登場しますが…)。大まかな登場人物としては、一人息子と夫を地上に残して仕事に邁進するフィー。デブリ衝突事故により妻を亡くし、その形見を探し続けるユーリ。自分の宇宙船を手に入れたいと願う「ハチマキ」こと星野八郎太。一癖も二癖もある3人のデブリ回収船での仕事を基本的に描いていますが、途中から「ハチマキ」の−「広大な宇宙において自分の存在とは何なのか」−という宇宙と向き合う心の成長を中心とした物語にシフトしていきます。(個人的にはフィー姉さんの宇宙で働く理由が描かれてないのですごく気になる!)
プラネテスの世界は「核融合発電」などの現在にはない技術が確立されているSFにも関わらず、本当にあと何十年後には訪れる予感をさせる雰囲気(リアリティ)があります。それは宇宙空間を「生活の場」として自然に描いていたり、「国際宇宙港」や「月面都市」、「火星基地」や「木星探査船」が登場して、いくら人間が宇宙に進出したとしても、そこには仲間を守ろうとする気持ちや、愛する人を亡くしても前へ進む力、夢を叶える為に必死に何かを成そうとする力など、人間の根本的な「生」を描いているからだと思います。まぁ、縁側で塩を振ったスイカを食べたり、親子で夕食のトンカツを争ったり、未来でも今とあまりかわらない風景を描いているからかもしれませんが…。(でもこういった描写がたまらなく嬉しい!)
『−この宇宙は人の強さを試す−』人類は宇宙に試されているのかもしれないとふと思うときがあります。現在、世界各国が参加している人類初の一大プロジェクト「国際宇宙ステーション」が5年後の2008年に完成する予定です。このプロジェクトが成功して実際に「国際宇宙ステーション」が稼動し始めれば、人類にとって科学や医学、その他の技術にも大きな進歩をもたらすでしょう。それでも地上では内紛や戦争、食料問題、人口増加、文化や宗教の違いなど大きな問題があります。宇宙には「真空」「閉鎖空間」「放射線」などの人間が宇宙空間に適応していない以上避けることのできない深刻な現実があるにも関わらず、それでも人類は「宇宙」を目指します。そういった諸々の文化・技術の問題をも「第二宇宙速度」(2巻参照)で超えていければ、2008年から10年後には月開発、それから10年後には民間も宇宙に進出しているかもしれません。
そうしてみると自分の老後には月の1/6の低重力で生活し(もちろん市民権を獲得!)、月の裏側でゴワゴワした宇宙服を着てゴルフを楽しんでいる姿や、「静かの海」を真横に眺めながらお茶をすすっている姿を想像すると、単純ですがちょっとは長生きしてみようと思うのです。
※最後に先日のスペースシャトル「コロンビア号」の乗組員の皆様のご冥福を心よりお祈りします。 |