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| 2003/2/4 |
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『エコノミカル・パレス』
著 者:角田光代 出版社:講談社
発行日:2002年10月 本体価格:1,400円
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ここのところ、等身大の小説を読むのは極力避けていたのですが(だって痛いから)。
じわじわと克己心が沸いてきて(ホントは痛いのが好き)、手に取ったのがこの本です。「34歳フリーター、同居の恋人は失業中。どんづまりの私の前に、はたちの男があらわれた――。」34歳まで、まだまだ(というコトにしておいてください)。仕事、いちおうアリ。同居の恋人、なんていません。どんづまって・・いないつもり。はたちの男・・あらわれないでしょう、まさか。というわけで、とりあえずリハビリがてら、今の自分とは遠からず近からず程度のつもりで読み始めました。そういえば、毎朝の通勤電車から見える宮下公園の青いテントに私も想いを馳せていたなぁ、なんて考えながら。
「やぁねぇ。こんな甲斐性のないオトコの面倒を看るなんて」「34にもなって定職にも就かずにライターになる夢なんかみちゃってさ」「年下の男を相手に勘違いして浮かれたりして馬鹿みたい」などと、極めて客観的に冷静に読み進めようとしたのですが。負けました。主人公と今の自分との置かれた状況は違えども、気持ちのうえではどこかしら頷いてしまったことを認めます。――でも、なんとかしてあげたくなっちゃうんです。ええ。30過ぎても夢、みてます。はい。浮かれてました・・。
年上っていうだけで、どうして頑張っちゃうのでしょう。年齢なんて関係ないのに。歳を重ねることで、失ったものよりも得たもののほうが多いはずなのに。自分の年齢をさばよんだり、無理に若者風の言葉遣いをしてみたり、初めて会うときは新調した今風のファッションに全身を包んだり。で、本当の年齢を明かしたときに「見えないっすよ」という言葉を聞いて安堵したり。ここまではカワイイものです。年下の男を前にしたときの、年上の女の乙女心です。でも、これ以上は頑張る必要はないみたいですよ。だって彼は、あなたが思っているよりも、そして間違いなく?あなたよりも?大人だから。食事のあとの会計はスマートに「いいすよ、ここはおれが払っておくから」。二軒めで泥酔してしまったあなたの「ラブホつれてけ」攻撃をやんわりかわし、酔い覚ましにと、朝までゲーセン、カラオケボックスに付き合ってくれたり。イイ男です。ね、だから無理におねえさんぶらないで、そのままのあなたでぶつかってみたら。
と忠告したにもかかわらず、どうしてそんな無神経なことするかな??うん。わかるけど。今、自分が本当にやりたいことを熱く語る彼を見て、なんとかしてあげたくなっちゃったんだよね。彼の夢に自分も乗りたくなっちゃたんだよね。だって彼はあなたが忘れかけていた情熱を思い出させてくれた人だから。でも、あのやりかたはまずいでしょ。彼が怒るのも無理はない。もし、どうしても?おねえさん?をしたいのなら――彼のことを黙って見守る、陰ながら応援する、ここぞ、というときに手を差し伸べる、そんな包容力を身につけることができたとき、あなたはもっともっと?大人のイイ女?になっているはずです。 |
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【楽天ブックススタッフ 由】 |
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