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| 2003/2/28 |
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『終戦のローレライ(上)』
著 者:福井晴敏 出版社:講談社
発行日:2002年12月 本体価格:1,700円
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事前に【久】さんの読書日記を読んでいたものだから、頭に浮かんでくるイメージがガンダムづいちゃって仕方ありませんでした。浅倉大佐のセリフがあるたびに池田秀一さんの声が頭の中に響き渡ります。挙げ句の果てに、下巻の中盤以降は「やっぱ、これって宇宙戦艦ヤマトっぽくない?」とさらに別のイメージが沸きだしてきて、時岡軍医長は佐渡酒造センセイに思えてくるし、絹見艦長は沖田艦長としか思えなくなってきます…上下巻、さらに2段組という長ーい長い戦いの軌跡は、思いのほか心の深いところを刺激していて、夢の中によくこの登場人物たちがあらわれます。というより、長い夢を見ていたようなそんな読書時間でした。あとあと、心に残る名言が多く綴られているのも『亡国のイージス』同様です。ガンダムの中に出てきた名言を、数年たった今またじっくり味わう人が多いように、この物語も長く長く読み継がれていって欲しいものだと思っています。
テーマは第二次世界大戦の終戦前後。狂気のような終戦工作に投入された最新兵器ローレライと、それを取り巻く人々を追った物語。戦闘場面が多いので紛れてしまいがちですが、このアイデアはすごく良かったなと感心させられています。悲劇を超えて単なる統計数字となってしまいそうな多くの“死”というものを背景におきながら、狭い空間で必死に生きていることを書くことで命の大切さや、生きることの意味を厚みをもって書き出していました。終盤に描かれる滅びの美学ともいうべき男たちの死に様は、ベタベタなんだけど涙が止まらなくって困りましたよ…懸命な男たちってどうしてこんなに格好良く思えちゃうんでしょうね?しばらく「椰子の実」を聞くだけで泣けそうです。
そこで完全燃焼した分、終章に蛇足感が出てしまったのが残念です。ラストシーンは好きだったんですけど、それまでがちょっと説明くさかったかな。ま、でも、熱冷まし期間がこれくらいないと読み手が現実に戻れないかもしれませんね。とにかく長い時間を費やしましたが、読んで全く後悔を感じない作品でした。空と海がいっぱいに広がる装丁もいいですね。どんな悲劇が繰り広げられても何ら変わることがないおおらかな自然をいっぱいに感じられます。
ところで、今日で読書日記はめでたく500回を迎えました。これもひとえに皆様の温かい励ましあってのたまものです。面白いものは出来るだけ多くの人に読んで欲しいし、厳しい意見もたまには言いたい…そんなスタッフの率直な感想を受け取っていただければ幸いです。今後ともどうぞこのコーナーをよろしくお願いいたします。
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【楽天ブックススタッフ 瑞】 |
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