『本の雑誌2003年2月号』で“なくて七癖本の癖”という特集をやっていたのです。そこでは職業別対決がされていて、書店員篇・翻訳家篇・編集者篇・書評家篇そしてSF者篇ってのが展開されています。そのなかで抜群の面白さを誇ったのがSF者篇。大森望さんと三村美衣さんの対談なんですが、熱狂的なSFファンが人生ごとSFにどっぷりはまって生きている様が伝わってきて笑いが止まりませんでした。生活に根ざしてないとSF者とは言えないらしいです。蛍光灯を持つとブーンと口ずさみながら振り回してしまったり、ラベンダーの芳香剤があると失神したふりをしてしまったり…「うそだろっ」と突っ込みを入れながらも、ほんとにやりかねない熱狂さが伝わってくるからすごいのです。
SF者への道のりは遠いものの、そんなわけで少しだけSF気分を味わいたくなって“SF”と名が付く本をちらほら読んでいます。今さらながら『火星年代記』も読みました。で、同じく本の雑誌のなかで、本の師匠と慕う浅沼さんが推していたのがこの『イリーガル・エイリアン』ファーストコンタクトが上手くいって世界が沸くなか、惨たらしい殺人事件が起こるのです。そして法廷に引きずり出された容疑者はエイリアンのひとり…前代未聞の裁判が始まります。
ってことで、そもそも倫理感覚や体の構造までも全く異なる種の生物を、裁判にかけていくのですから大変な話です。死刑宣告がされた時にどういった死刑を執行すれば確実に死を与えられるのか?などを真剣に研究しようとするところもやたらリアル。陪審員制度の問題点なども上手く盛り込まれていたし、容疑者の容疑を固めていく経緯も大変面白く読めました。ミステリ読みにもぜひぜひオススメ。ただ、普段SFを読み慣れない私にとっては、ファーストコンタクトのあたりをとても新鮮&魅力的に感じました。
最後のオチでちょっとした安直さを感じないではないのですが、ページをめくるスピードが速い良質のエンターテイメント小説だと思います。「SFはちょっと…」って人にこそ読んで欲しいですね。 |