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| 2003/10/24 |
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『彼女はなぜ愛され、描かれたのか』
著 者:山口路子 出版社:すばる舎
発行日:2003年02月 本体価格:1,300円
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音楽であれ絵画であれ小説であれ、「これはスゴイな」と思った作品に出会うと、その作者に興味が出て、その作品がどんな状況で作られたのか知りたくなってしまいます。あまりにスゴイ作品に出会うと(私の場合たいてい音楽ですが)「これは神サマの仕業だな」と人知を超えたものを感じたりすることがあります。が、絵画に関しては数十億円で取引されているのを聞いても、何がそんなにいいのかわからないな…と思っていました。絵画は私にとってまだまだわからない領域のモノなのです。学生のころ行ったニューヨークやパリやフィレンツェの美術館でも「きれいだなぁ」とか「すごい建物だなぁ」ぐらいの感想しか持てなかったというお粗末な感性でしたから。
本書には、こんなふうに深く絵画を観ることができるのか…と絵画の鑑賞方法のひとつを教えてもらった気がします。パリの美術館に行く前に読んでおきたかったな…とちょっと惜しく思いました。が、この本は絵画を学ぶための解説書ではありません。この本でとりあげられている絵画は、「情熱」「欲望」といった恋愛の感情が表れている絵ばかりで、一枚の絵から、描かれた女性と描いた画家の人生から、様々な恋愛観を学べる本です。
小説にしても音楽にしても絵画にしても、創作に一番大切なのは技術ではなくインスピレーション。そう考えると画家にインスピレーションを与えた描かれた女性・美神(ミューズ)と画家の関係はかなり気になります。紹介されている18枚の絵から探られる男と女の関係。正しいか正しくないかではなく、恋愛のひとつの形として自分がうらやましく思うか思わないかで読みました。しかし、恋愛観ひとつひとつが深いです。恋愛感情が芸術レベルに昇華して「作品」になっているわけですからね。
私は「恋が長く続く男女の組み合わせ」というタイトルで紹介されている画家ボナールと妻マルトの章が印象に残りました。入浴する妻をほぼ生涯にわたって描き続けたボナール。ボナールとマルトは人生のほとんどをふたりっきりの世界で過ごしたそうです。著者の山口さんはそこに、長く恋が続く組み合わせをみています。相手がひとりの時間を持っているとき、その姿を見て、好きだと思う要素が多ければ相性がいいと。当たり前のことながら、ちょっと考えてみました。自分と関わっていないときの恋人の姿(例えばテレビを見ているときとか食事の食べ方とか)を好きだと思えるかどうか・・・結構重要ですね。うん。
私の母親は「ピカソがあんな人だとは知らなかったわ」とピカソの章が印象に残ったようです。ピカソタイプの男には気をつけなさいよ…というアドバイスつきで(笑)。
あなたにはどの章が、どの絵画が、どの画家とミューズの人生が、心に残るのでしょうか?もともと知っている絵も、本書を読んで今までとはちょっと違うふうに観えそうです。私も理屈抜きに自分が観て「感じる」絵画を見つけてみたくなりました。もう一度いろいろな美術館に行ってみたいです。…これって今京都に修学旅行に行ったらもっともっと楽しめるのにぃ…と言っているのと同じですよね(笑)。いろいろなことをより深く楽しむためには、感性を常に育てていかないとダメですね。本書も新しい世界を発見できそうな、いい刺激になりました。 |
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