楽天市場
ブックス
楽天トップへ
買い物かご | my Rakuten | 総合案内所 | 楽天へ出店 | ヘルプ
本・雑誌・コミックトップ楽天ブックスあなたの書斎楽空間カフェギフト懸賞プレゼント オークションフリマ
1,500円以上で送料無料  ポイントが増えるチャンス!
 注文履歴  ポイント履歴・応募  お買い物方法登録
キーワードで検索 >>本の探し方  |  絞込んで検索 >>

読書日記 2004年3月31日更新
現在の日記の件数:727件

 最新の読書日記   バックナンバー一覧  カレンダー   
<<前日の日記へ | 翌日の日記へ>>
2003/10/16
『孔子暗黒伝』

著 者:諸星大二郎
出版社:集英社
発行日:1996年11月
本体価格:600円
小学生だったころの愛読書といえば、やはり『少年ジャンプ』・・・と、先日の【貴】と同じ書き出しですが、私の場合、二十数年前となってしまいます。小学生の頃に読んでいたコミックを、大人になって再び読む。かなり後ろ向きの行為のような気がしますが、この作品だけは、もう一度、読んでみたいと思っていました。諸星大二郎の『孔子暗黒伝』。1977〜78年に少年ジャンプで、10週にわたって連載されていた作品です。連載当時、リアルタイムで読んだ以来なので、実に四半世紀ぶりとなりました。たった10回の連載であるのに、1年間の製作日数をかけたという労作で、今回、精読して、その深遠な作品世界にあらためて驚嘆しました。小学生であった自分には、陰陽五行説や仏教の宇宙観が跋扈する、この難解なコミックに強い衝撃は受けたものの、到底、理解にはおよびません。今、読んでも、どこまで理解しているのか、と思ってしまうほどです。孔子とその一門を描いたファンタジー(伝奇歴史小説?)『陋巷に在り』の作者、酒見賢一氏も、この作品を中学生の時に読みインパクトを受けたそうで、『孔子暗黒伝』に出会わなかったら、孔子や顔回に興味を持ちえただろうか、と語られています。『陋巷に在り』の装画を諸星大二郎氏が描かれていますが、酒見氏曰く「『孔子暗黒伝』のフォースをもらった」状態だそう。読者としても、『陋巷に在り』には、どこか『孔子暗黒伝』を投影して見てしまうのです。本作には、孔子をはじめとして、『陋巷に在り』の主人公である顔回(無論、聡明な美青年)他、子貢、子路など、おなじみ高弟たちもキャラクターとして登場します。『陋巷に在り』をお好きな方には是非、お勧めしたい一冊。幾度も読み返すうち、漸く物語の輪郭が見えてまいりました。この難解なコミックを、無謀な挑戦となりますが、要約して、紹介してみたいと思います。

周時代の徳の政治の理想を求める孔子。政敵の陰謀から逃れ、彷徨するうちに、たどりついたのは周公の墓所。そこで出会った不思議な少年、赤。孔子の庇護のもと成長した赤は、ある時、さらわれて行方不明となってしまう。一方、インドで、ミブンノ低いシュードラの子として生まれ、貧苦の生活を送る少年、アスラ。インドで邂逅した赤とアスラは、お互いが自身の対、光と影となる存在だと知る。まさに入滅せんとしていた釈迦と出会った二人は、宇宙の始源と終焉を司る摂理を見せられ、天子(アートマン)として、梵天(ブラフマン)に至るよう啓示を受ける。やがて二人は一体となり、ヴィシュヌとシヴァの合一した「ハリ・ハラ」と呼ばわられる(だんだん説明に窮してきましたが・・・)。『人の顔をした獅子(開明獣)と獅子の顔をした人、ナウシンハ』に導かれ、ハリ・ハラの梵天を目指す旅が始まる。一方、孔子は、周の遺跡の「記憶装置」から、周王朝を支えていた「人為的に天子を生み出す術」である「慈変泰」の存在と、その術により産み出された天子が、赤であることを知る。周の徳の政治の秘密を知ろうとして、禁じられた反剋の術を使い、かつての政敵、陽虎を蘇らせてしまう孔子。陰陽の気をも乱してしまった、その知の探究への「貪欲」。バランスを失った世界はどのように収拾されるのか。ハリ・ハラの旅の終わりは、蓬莱の地、日本。孔子の弟子、顔回もまた、蓬莱へと旅立つ。果たして、そこで待っていたものは・・・

簡単に書こうとすると、余計、複雑になることがわかりました。スケールはむやみに壮大です。『一なる実在(永遠)の諸相が世界であり、世界は「永遠」の影にすぎない・・・』。永劫に続く時間、いや、「永劫」というものさえもひとつの時間の単位でしかない。生々流転を繰り返す宇宙の法則の中で、人は、その大極にたどりつくことができるのか。叡智の人、知者である孔子は、果たして真理に到達することができるのか。いや大宇宙の摂理の前では、人間の小賢しい知の探求も愚かな営みにすぎないのか。深遠なテーマと、圧倒的なパワーに満ち溢れた作品です。

傑出した作品も、単独で発生したものではなく、どこかに発想の契機となった別の作品があることは、往々にしてあるものです。『孔子暗黒伝』(そして『陋巷に在り』)の場合、歴史学者、白川静氏の『孔子』に行き当たるようです。この本には、史実では謎である孔子の素性についての推測が寄せられており、その出自や政治的動向など、『陋巷に在り』で詳らかになるものは、こうした考察を発展させたものであるようです。「学」の領域と「伝奇小説」や「ファンタジー」という作りごととの相克はあるかと思うのですが、学問的考察が、こうした物語の媒介となっていったことは、面白いものですね。聖徳太子を、「あんなふうに」描いた山岸涼子さんの『日出処の天子』も梅原猛氏の『隠された十字架』から着想を得たと聞いています(遡って、梅原作品を読みすすんでいった人なども、私の世代には多いようです)。「原典?」に回帰していくこともまた読書の楽しみのひとつかも知れません。最近、なかなか新しいコミック作品に手を出すことができなくなっています。職業柄、「情報」に囲まれてはいるものの、「30代半ばの私が読んで面白いのだろうか」と思い、躊躇してしまっているのが現状です(『ケロロ軍曹』って売れているけれど、どんなの?などと若い子に聞いて済ませている感じですね)。あまり強い刺激も望んでいないのか、すっかりコミックに関しては保守的になっていました。いや、やはり、もっと度肝を抜かれるような作品を読んでみたいなあ、と、気合が入りましたので、もう少し読書的冒険をしてみようかと、そんな感じです。。
【楽天ブックススタッフ 知】


【読書日記】では、楽天ブックススタッフが自分たちの読んだ本を日記形式で紹介していきます。

新刊本・未刊本・絶版本。定番から変わった本まで、いろいろな本が登場します。ほぼ日替わり、何が飛び出すか、乞うご期待!
皆さんが読んだ本、良かった本、面白かった本も、私たちに教えて下さい。
お便りはrecommend@books.rakuten.co.jpまで



このページのトップへ

楽天ブックス トップ | ヘルプ | 買い物かご| 注文履歴| お買い物方法登録

ご意見、ご質問などは info@books.rakuten.co.jpまでお寄せください。
楽天BOOKSは SSL に対応しているので、クレジットカード番号は暗号化して送信されます。

Copyright (c) 2000-2003 RakutenBooks, Inc. All Rights Reserved.