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| 2003/1/7 |
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『あしたのロボット』
著 者:瀬名秀明 出版社:文藝春秋
発行日:2002年10月 本体価格:1,667円
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新年にふさわしい本に出逢うことが出来ました。それがこの『あしたのロボット』です。瀬名秀明さんといえば、言わずとしれた『パラサイト・イヴ』の作者、専門的な言葉がポンポン飛び出す理系ミステリというジャンル(?)を一般化させた人でもあります。瀬名さんの作品を読むのは久しぶりでした。ロボットがテーマなだけに、人工知能とか、ロボット技術の専門用語の洪水を覚悟して読み始めたのですが、目の前に広げられたのは思惑に反して驚くくらい情緒的で懐かしい光景でした。(なんとなく『八月の博物館』とイメージがかぶるところがあります)
2003年は鉄腕アトムの誕生年ということで、ロボット技術への注目も否応なしに高まっています。ロボットと聞いて、思い浮かべるイメージはアトムだったりドラえもんだったりと世代によってまちまちなのでしょうが、やはり鉄腕アトムが与えた影響は良くも悪くもものすごいものですね。私たちは憧れや夢を持ってロボットと接してきましたが、(ドラえもんが欲しいのか、四次元ポケットが欲しいのか…って問題はさておき)この本に出てくる研究者たちはその夢が壁になり、思い悩み・苦しみます。そんな物語なのです。
夢や憧れが存分に綴られていながら、最新鋭の科学技術が同時に克明に語られていきます。AIBOはすでにいろいろな所でさわることが出来る存在になっているし、ASHIMOもテレビでしばしば見られます。そこに行き着くまで、そしてそこから伸びようとしている研究の苦労や問題がよく垣間見られました。中でも心をとらえられたのがこんな話題…私たちは急激に技術進化が進む家電やパソコンを簡単に買い替えますが、心を持ったロボットを同じように買い替えることが出来るでしょうか?子どもと一緒に育ったけど、子どものようには育っていかないロボットとどうやって接していったらいいのでしょうか?
最新技術から見える未来を描いたこの短編集は、とてもとても哲学的な本でした。描かれた未来はどことなく切ないものがほとんどでしたが、第一線を知る人が書いた文章だからこそより切実なものとして読み手に届いてきます。鉄腕アトムの誕生日2003年4月7日には、本当にアトムが誕生するのでしょうか?なんだかんだ言ってもちょっと期待せずにはいられません。個人的にはほのかなラブストーリーも絡んだ【亜希への扉】が特にオススメです。年のはじめに未来のこと考えてみませんか? |
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【楽天ブックススタッフ 瑞】 |
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