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読書日記 2004年3月31日更新
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2002/9/3
『触身仏』

著 者:北森鴻
出版社:新潮社
発行日:2002年08月
本体価格:1,400円
「いくら好きな作家だって、登場させすぎじゃぁ…」と言われそうな気もしますが、またまた北森鴻の新作を読みました。だいたいこの読書日記というコーナーは、政治的なやりとりから解放された楽天ブックスのスタッフが、その時読んだ本について書く。という趣旨のものなので個人的な趣味が大いに反映されるのは仕方がないことなのです。(言い訳終わり)

この『触身仏』は『凶笑面』に続く、蓮丈那智フィールドファイルの作品群です。本邦初(って前は書いてあった)の民俗学ミステリーということで、日本各地の土着の文化と事件の謎解きをいっぺんに楽しめる豪華さ。考古学とか民俗学という学問は何らかの仮説を立て、その証拠を見つけ、証明するという謎解きの繰り返しです。今回も三種の神器が出てきたり、ミイラが出てきたりとそのテーマだけでも楽しませていただきました。蘊蓄だけでもかなり楽しめること請け合いでしょう。

蓮丈那智(♀)をご存じない方に説明しておくと、彼女は異端の民俗学者でクールで知的な女性。その人となりは読んでいただければすぐわかると思いますので割愛しますが、たぶん美人なんでしょう、周囲の男性陣の態度を見ている限り…そんな彼女と、助手の内藤三國(♂)が繰り広げる民俗学絡みの事件の数々を綴ったのがこちらのファイルです。民俗学Xファイルみたいなもんですな。高いフィールドワーク費用を捻出して出かけたと思ったら、毎度のように事件に巻き込まれて発表できない研究結果が増えていくものだから、三國の苦労は耐えません。愚痴をこぼしつつも尊敬する那智のためにかけずり回るその姿が結構好きです。

考古学以上に人間の心の部分に根ざした学問だから、より神秘的な話が多いところも魅力です。道ばたにある塚や道祖神の見方もこれを読んでからちょっと違ったものになってきました。受け継がれている民俗文化には、必ず何らかの意味があるんですね。北森さんが書いた話のどこまでが真実なのかがよくわかりませんが、民俗学というものに非常に興味をそそられる小説でした。妖怪ブームが起きている昨今にはぴったりの1冊なんじゃなかろうかと思います。京極夏彦ファンで、いつまでたっても京極堂の新作が出ないと嘆いているあなた!ぜひこれを読んでみてください。

毎度のことながら私の胃袋を刺激する北森作品の食べ物描写ですが、今回はアルコールが目立ちます。そんな中で目に付いた一皿がこちら「濃厚なウニソースで仕上げられた白身」。本当においしそうでした、思い出しただけでもお腹が鳴りそうです。
【楽天ブックススタッフ 瑞】


【読書日記】では、楽天ブックススタッフが自分たちの読んだ本を日記形式で紹介していきます。

新刊本・未刊本・絶版本。定番から変わった本まで、いろいろな本が登場します。ほぼ日替わり、何が飛び出すか、乞うご期待!
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