| <<前日の日記へ | 翌日の日記へ>> |
| 2002/9/25 |
 |
『グレイヴディッガー』
著 者:高野和明 出版社:講談社
発行日:2002年07月 本体価格:1,700円
|
『13階段』で江戸川乱歩賞を受賞した高野和明さんの作品です。甦る死者・無差別大量殺人の被害者の隠されたつながり・壮絶な追いかけっこ・魔女狩り・謎の殺戮者グレイヴディッガー…とスリルとサスペンスを求める読者には心躍る単語が並んでいます。前作に引き続き「期限もの」で、白血病患者に自らの骨髄を届けるために必死で殺人者から逃げ回るという大がかりな逃走劇が繰り広げられています。ただ、リミットに対しての焦りやスピード感は前作の方が強かったかな。
前作が映画になるというニュースでまたまた脚光を浴びていますが、この作品も前作にも増して映像的に作られているように受け取れました。高野さんがそもそも映像・脚本出身の方なので余計そうやって感じてしまったのかもしれませんが、小説的な細かい描写にちょっと欠けている気がします。あと、最後までもやもやとした謎が残っているんですがこれは私の読み方が甘かったせいかしら?
でも誤解しないでいただきたいのは、面白さは太鼓判ということです。今回は【八神】(主人公・元悪党ながら自分の生き方を悔い改めて骨髄ドナーに志願)【警察】(たまたま殺人現場に居合わせた八神を犯人だと思って追いかける)【謎の組織】(何の組織だかわからず)【グレイヴディッガー】(大量殺人者)と四つ巴の追いかけっこになっていて、とにかくどこへ逃げても誰かに追われるところがそれだけで緊張感をそそります。東京の北端から南端って近いようで遠いんだなぁなんてそんなことを考えてしまいました。
グレイヴディッガーは「中性暗黒時代の魔女狩りを執り行っていた異端審問官を殺す」という役割を担った、生き返った死体なんだそうです。なので、彼はこの伝統に則って拷問をしたり、殺したりするわけです。命が終わらないうちに見えない炎で焼かれていく一人暮らしOLの姿なんてのはかなり不気味で、夜道が怖くなりました。そんな残酷なシーンがある一方で八神などの登場人物はどこかユーモラス。冗談も多用されていてけっこう笑えます。だから雰囲気が中和されていて耐えられるものになっているのかもしれませんね。
正義ってなんなのかとか、人を殺すことが許容される理由なんてあるのかとか、重たいテーマを含んだ小説です。私はドタバタ劇として読み終わってしまったんですけれど、もうちょっとこの辺じっくりと味わってみたいと思います。 |
|
【楽天ブックススタッフ 瑞】 |
|