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読書日記 2004年3月31日更新
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2002/9/10
『向田邦子の恋文』

著 者:向田和子
出版社:新潮社
発行日:2002年07月
本体価格:1,200円
向田さんの作品との出会いは、『男どき女どき』をテレビの朗読ドラマで見たのが印象的でした。代表作は数あれど、その後『思い出トランプ』を読んだくらいです。しかし、何か心にしみるものを私に残していました。

1981年、突然の飛行機事故で向田さんは帰らぬ人となりました。没後20年を迎えてNHKで特集番組が放送され、その中で紹介されていた向田さんの写真がこれまた印象的だったのです。カメラに向けられたやさしい表情は、シャッターを押す男性に向けられた気持ちの表れでした。カメラに向かって、自然に微笑みがもれてしまうような、深い信頼から心を許してありのまま自分を見せるような、そんな気持ちだったのでしょうか。

そのファインダーをのぞいていた男性の日記と向田さんとの間の手紙とが前半紹介されています。遺品の整理中に見つかった茶封筒を、妹の向田和子さんが20年近くたって初めて開いて明らかになったものです。向田さんが33、4歳のころの手紙。その男性が亡くなって、日記は終わりになります。そんなことを当時は全然知らなかった和子さんですが、何十年を経て、夜中に放心状態でいた邦子さんの姿の記憶と結び付くのでした。

9歳離れた姉向田邦子さん、母、父、真ん中の姉、兄。和子さんから見た向田家族の様子がうかがえます。「お姉ちゃんは向田の家に生まれて、どう思っているの?」和子さんが高校生のころ邦子さんに投げた質問です。さまざまな問題もある中で家族を支える役目を果たしてきた姉に対して、聞きたいことは山ほどあったでしょう。しかし、9つの歳の差のせいか、あるいは、弱音は吐かずに一人でこなす邦子さんに寄せ付けないものがあったのか。今となっては永遠の謎になってしまったことばかりに思えます。

読み終わって、私の中でとても消化し切れていないのですが、姉妹そして家族について、「あたたかい結び付き」なんていう陳腐過ぎるものではない、もっと深いつながりを感じました。先に「逝って」しまうとは、残された人にはとても辛いことです。
【楽天スタッフ 笑】


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