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| 2002/7/23 |
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『さんだらぼっち』
著 者:宇江佐真理 出版社:文藝春秋
発行日:2002年01月 本体価格:1,333円
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ふり返ってみたら、読書日記に髪結い伊三次シリーズのことを書いたことなかったんですね。このシリーズは髪結いの傍らで同心の小者をつとめる伊三次とその恋女房(女房だっけな・・?)のお文の物語です。むろん捕物余話という名に恥じないサスペンスストーリーなんですけど、この魅力は伊三次とお文の恋物語。じれったいようで、きっぷがいいそんな二人のやりとりがたまりません。お文はもともとは大人気の深川芸者で、かたや貧乏な髪結いとまあいろいろあったのですけど、その辺は『幻の声』から始まるこのシリーズを読んでいただくのが一番よいかと思います。
・・ここから後、ストーリーに触れるところがありますので未読の方はご注意ください・・
前作『さらば深川』で家を焼かれ、仕方がなく伊三次のもとで暮らし始めたお文の姿がメインになります。今までは深川芸者らしく、女中付の豪華な暮らしをしていましたが今度は長屋の女房。なんせ今まで家事なんて事をやったことがなかったため何をやるにも四苦八苦。ところが近所の女房衆も元芸者のお文が珍しいもんだから、いろいろ世話を焼いてくれてそれはそれで上手くまわっていました。あの日までは・・・
今回の一番重いテーマは「子ども」。子の夜泣きに耐えきれなくなり虐待を繰り返す母親、母の不貞に気付き父親を庇ったことで母親に殺されてしまった女の子、いつも世話になっている家に出来た子、世話をしていたおみつのお腹にいる子ども・・・そんな子どもたちをお文が優しく時には厳しいまなざしで見つめています。そうはいっても、お文だって愛しい伊三次の子が欲しいわけで、複雑な心がいくつも書き込まれ物語に深みを与えています。ちょっとした表現で子どもの表情が生き生きと輝いたり、母親の気持ちの複雑さが描かれるところが凄いところです。
でも、いままでの巻と違い伊三次の魅力が足りなかった気がします。と、いうのも2人があんまり会話をしなくなっちゃってるんですよね〜下戸の伊三次が無理してお酒飲んで帰れなくなったり、忙しくて会話が減ったり。離れていた頃の方がより結びつきが強かった気がしてなりません。まあ、でも終盤の事件があったことで伊三次もそれに気付いたようなのでそれはそれでいいんでしょうが。やっぱり男の人って女房が家にいると思うと、安心して外を飛び回っちゃうものなんでしょうかね。捕物の結末よりも伊三次とお文のこれからのほうがずっと気になる展開になってきました。 |
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【楽天ブックススタッフ 瑞】 |
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