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| 2002/7/19 |
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『ひらひら』
著 者:池永陽 出版社:集英社
発行日:2001年11月 本体価格:1,700円
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情けない半人前チンピラの常巳は、ヒラメに似た顔をしている年上の女・順子と同棲中。借金の取り立てにいってその家族に同情して、お金を渡しちゃうほどのお人好しなのでむろんヤクザに向いているわけはなく、周囲の人々からは足を洗うことを薦められています。そんな中伝説のヤクザである“腕斬り万治”が出所してくると聞いて、これを機に本当の男になろうと決意するのです。
本の雑誌2002年上半期のベストに選ばれている『コンビニ・ララバイ』を読んでみたいと思っていて、なかなか現物と出会うことが出来ずに、とりあえず前作であるこれを手に取りました。ヤクザものの話なのにずいぶんしみじ〜みとした話だったなぁという印象を持っています。結構悲惨な話が随所に盛り込まれているのだけれども、あんまり暗くは感じません。それは作者の芸風なのか、それともリアリティの欠如なのか…こういうことはヤクザの描き方にも言えるらしくて、賛否両論あるようです。そうはいっても個人的にはずーっと『ごくせん』を夢中で見ていた流れがあるので別にそんなに現実にそくしてなくてもいいのかな、と。
一言で表現すると【浅田次郎+重松清÷3】という感じです。3で割ってしまっているのは、浅田次郎の描く人間の躍動感と重松清の描く人間の心のひだのどちらもまだ達成できていないから。何となく小さくまとまってしまった感があるので、どちらかに大きくぶれて枠を飛び出してくれたら面白くなりそうです。優しさを文章にするのって大変なことですね。単なる親切な人で終わってしまってもいけないし、お人好しになってしまったらそれまでだし…万治さんの発言にはそういう優しさが感じられるんですけど、主人公はそれもきちんと受けとめられない半端者。テーマがダメ男を描くことなので仕方がないのだろうとは思いますが、このダメ男は苦しんでいるわりに悩まなすぎ。どうしても同情できませんでした。
これがまたよりによって一人称なもんだから「あんた、もっとしっかりしなさいよ!」とか「たまには反省しなさい!」とか、ひとりで突っ込みを入れっぱなし。しみじみとはしましたが、ストレスがたまったので癒しの効果はなかったです。
結構酷いことを書いてしまいましたが、先が楽しみな作家だなぁと思っています。期待しています! |
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【楽天ブックススタッフ 瑞】 |
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