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| 2002/6/14 |
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『燃えつきるまで』
著 者:唯川恵 出版社:幻冬舎
発行日:2002年06月 本体価格:1,500円
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直木賞受賞作の『肩ごしの恋人』は、この「読書日記」では大人気でした。本作はどんなもんか、ためらいつつも、「彼を失うことは、自分を失うことだった」という宣伝文句にひかれて手に取ったという、のせられやすい私です。
31歳の怜子が、5年つきあった彼から突然別れを宣告されて、「少しずつ壊れ始め」ていくという物語です。「たかが失恋で」と言うのは簡単なことだし、「『自分』ってものを持ってない」とか「自立してないんだよ」とか、そうも言えるかもしれません。けど、5年つき合うっていうのは、もちろん、深く愛しての5年っていうのは、ただならぬことであります。週末を一緒に過ごし、いろんなことをあーだこーだと話し、相手のことも知り、影響もされ、生活の一部、人生の一部になっているんだから、とんでもない大きい穴がぽっかり空いてしまうのです。きっと。
怜子は、この種の小説の女性主人公にありがちな「プライド」というものも持っていて、それでよけいに執着したのかもしれません。「そんなこと言っても、結局は私のところに戻って来るのよ。明日には『ごめん』って電話がかかってくるはずだわ」失恋とともに、そういう考えが打ち砕かれていくことで、ますます自分が何だか見失って、足元ががらがらと崩れてしまったのでしょう。「そんな高慢な女、いい気味だ。けけけ」と思いながら読むこともできるかもしれません。怜子にとっては、いい経験になって、人間の幅が広がったことと思います。…っていうのは、まったく他人事のコメントであり、自分が経験するのはごめんです。怜子みたいになりそうで。
でも、たしかに私の身近にもいました。初めての「失恋」を経験したあと、「今回初めてわかった。私が今までどんなにひどいことをしてきたか」と言った人が。ひとの痛みなんて、所詮、わかった気でいても、自分が足を踏まれてみて初めて、ああ、こんなに痛いものだったんだ、とわかるものなのですね。
怜子は、けろっと立ち直りかけたときもあったのですが、ちょっとしたことでバランスを崩し、壊れ始めてしまいました。「私ってなんて可哀想なの」と自己陶酔するのもいいけれど、とっとと見切りをつけて違う人を探すなりしないと、狂気と正気は紙一重。こわいこわい。 |
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【楽天スタッフ 笑】 |
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