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| 2002/4/25 |
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『珍妃の井戸』
著 者:浅田次郎 出版社:講談社
発行日:1997年12月 本体価格:1,600円
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「今さら珍妃の井戸なんか読んでるの!?」という囁きが聞こえてきそうで、読書日記をアップするのを躊躇したのです。それくらい過去話題になった本です。この本、登場人物がかの名作『蒼穹の昴』から引き続いていて、蒼穹…に涙した私は発売と同時に手に取ったのです、実は。ただなぜか読み進まなくて結局そのままになっていました。昴がボロ泣き本だったのに対し『珍妃の井戸』は歴史ミステリの色が強いため、その格差になじめなかったのかもしれません。
そうは言っても、日を経てから再び読むと中身がすいすいと頭に入ってきて楽しんで読めました。清朝末期の中国、諸外国の手が入った混乱の中で何者かによって殺害された美貌の妃、珍妃。いったい誰が珍妃を殺したのだろう?というのが基本ストーリー。政治的混乱と愛憎が渦巻く中で、謎解きに乗り出すのはイギリス・ドイツ・ロシア・日本の重要人物たちでした。彼らは新聞記者に始まり、その場に居合わせたであろう人物から証言を得ていきます。宦官・将軍・光緒帝の側室などなど…しかし、思惑が渦巻くなかでなかなか本当の証言は得られません。で、最終的な結論がどうついたかは読んでのお楽しみ。
ミステリーと銘打っていますが、謎解き色よりは“愛の物語”という色を強く感じました。中公新書の『宦官』などを読んでもらえると詳しくわかるのですが、中国の皇帝というのは非常にややこしい決まり事の中で生きていて、それこそ妃を裸にして絹の袋に詰めた上皇帝のもとに運ぶ、とか閨の行いを全て記して記録していく、とか信じられない環境にあるのだそうです。当然皇帝自らが妃の寝所に足を運ぶなど信じられない行為だったわけなのですが、珍妃を深く愛した光緒帝は普通の夫婦のように「ただいま」と珍妃の元に帰っていったと言います。この辺のやりとりになぜだか妙に感激を覚えました。ここまで愛された珍妃だからこそ、その死にも大きな意味がある…という事なのです。
歴史のなかには色々なミステリがいっぱい潜んでいるんですよね。でも、私にとって当面の一番の謎は「なぜ『蒼穹の昴』がいつまで経っても文庫化されないのか?」という点です。どうしてなんでしょうか?気になって仕方がありません、誰か知っている人教えてください。 |
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【楽天ブックススタッフ 瑞】 |
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