人々はつぎつぎ死んでいき、赤ん坊は一人として生まれず、物もどんどんなくなり、それとともに言葉も消えていく世界。盗みや殺人はもはや犯罪でもない。死以外にその街を逃れる術はない世界・・・。ポール・オースター独特の微妙に上品に歪んでいる世界描写が最高です。幻想的なのに妙にリアルな世界。
人々は死の瞬間を劇的にするためにいろんなことを考えます。本当に「よくこんなこと思いつくよな・・・」と感嘆するような死に方続出です。そのための商売も繁盛しています。たとえば裕福な人に人気の「安楽死クリニック」とか。人気上昇中の「暗殺クラブ」など。暗殺クラブなんかは加入すると、具体的には教えてもらえないもののさして遠くない未来に死が訪れることが期待できるため、たいていの人はかえって気が張りつめ、生きている実感が増しちゃうんだそうです。でもこういった死に方は一部の人たちで大多数はのたれ死になんですけど。
希望ゼロ、すべてが「ゼロ」に世界が近づいていく恐怖ってすごいです。極限の環境でサバイバルしていく自信が自分にはイマイチないけれど、極限状態で人間の本質がでるっていうのはなんとなくわかります。(最近ドラマのおかげで人気再燃の『漂流教室』もそうですよね)こんな世界にならないことを祈ってしまうけど、オースターはこの世界が想像の産物ではなく実際に起きた(あるいは起きている)ことをモトにしていると言っています。確かに戦争や、飢餓に苦しんでいる地域など、極限状態は、たった今も地球上にあるんですよね・・・。自分が今のところ安全な場所にいる奇跡と偶然に感謝しつつ『世界がもし100人の村だったら』もオススメしておきます・・・。そして自分だっていつ極限状態に放り込まれるかわからないです。覚悟して生きましょう。 |