| <<前日の日記へ | 翌日の日記へ>> |
| 2002/3/12 |
 |
『問屋と商社が復活する日』
著 者:松岡真宏 出版社:日経BP社/日経BP出版センター
発行日:2001年12月 本体価格:1,600円
|
流通革命・問屋不要論が声高に叫ばれる中で生活していると、本当に問屋という存在が、いらないものであるという認識がいやでも染みついてしまうものだ。著者は、『百貨店が復活する日 21世紀日本流通市場論』で、既に終わったといわれた都市型百貨店の可能性を論理的に説明し、日本流通の本質をわかりやすく提示していた。その問屋・商社版がこの本であると言える。
日本の流通(システム)において、批判の的となってきたのが、中間流通に位置する「問屋」と「商社」である。口銭と呼ばれる中間マージンを搾取するその存在こそが、流通業界の非効率・高コストの原因であり,中間流通業者をできる限り排除して製造業と小売業を直結すれば、流通が簡素化され,物価も安くなる。私もこの本を読むまで、アメリカやヨーロッパ小売業の効率的な流通が最高で、日本もアメリカと同様の道を目指すことが、日本の小売業が利益を拡大し、消費者が最大のメリットを享受できる道であると思っていた。(恐らく皆さんもそうだと思うが・・・)
この考え方に「流通革命」というキャッチフレーズがつき、1960年代以降、40年間も大手小売業主導でこの「革命」が進められてきた。どうもここのところの大手百貨店・スーパーの破綻劇を見ると「流通革命」が、本当に成功したのかどうかあやしい。著者は、この問いに対し、「流通革命は一度も成功していない」と指摘する。それは、「流通革命」の旗手たる大手小売業が相次いで危機に陥り、一方で「古き悪しき日本の象徴」だった問屋や商社が再びその力を誇示し始めているという事実が証明している、と。そして著者は断言する。そもそも「流通革命」的な考え方は100%間違っている。
著者は論理的かつ具体的な事例を交えながら、次々と流通業界の「常識」を覆していくところが痛快である。
1.問屋は流通の合理化に欠かせない。
問屋は品揃えを豊かにしたり、小売業の参入障壁を低くして健全な競争を促したりする機能を有しているからだ。
2.日本のベンチャーや中小企業が活力を得られるのは、商社があるから。
商社はこうした企業のサポーターである。
3.日本の物価を押し下げているのは、問屋や商社の存在があるから。
問屋や商社を排除すると,日本経済全体にとっては大きなマイナスになる可能性がある。問屋や商社が存在するからこそ、小売業は活気があり、お客さんは安く商品を買える。
日本の流通は確かに「多段階で複雑」だが、だからといって、「非効率」というのは間違っていると強調する著者は、結びで次のようにも述べている。
「よしんば、たとえ私の指摘が間違っていて、やはり問屋や商社が日本の流通業の効率性を損なっていたとしても、効率性ではなく公平性、あるいは経済厚生という観点から、日本の問屋や商社の機能を再評価すべき時期に来ていると思う」
本書は、流通革命を否定する”タブー”を各種のアプローチを通じて、論理的かつ刺激的に証明する「中間流通復活論」である。そうは言っても、全ての問屋・商社が必要なわけではなく、生き残るには、それなりの理由が存在していることも示している。日本の流通業を深く考えさせる内容と問屋や商社で活躍する人に勇気と希望を与える論旨は評価できる。 |
|
【28歳問屋マン】 |
|