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読書日記 2004年3月31日更新
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2002/2/27
『王妃の館(上)』

著 者:浅田次郎
出版社:集英社
発行日:2001年07月
本体価格:1,600円
借り物の本だったのでオビがなくて、内容を知らぬままに読み始めました。浅田次郎+フランスが舞台=きっと『シェエラザード』のフランス版・・・ということは泣けるね。と勝手な方程式を組んで本を開いたもので、冒頭の登場人物紹介のお笑いキャラの多さに首を傾げました。オカマさんやら、成金カップルやら、国際的なカード詐欺夫婦やら“泣き”のストーリーが展開されるとは思えません。して、あとからオビを見てみたら「お笑い」って書いてありましたね。先入観にとらわれない読書というものも良いものです。

「王妃の館」というのはパリの由緒ある超高級ホテルです。昔から文豪や著名人が泊まったその場所を舞台に旅行料金二重取りのプランが企まれます。まんまとダマされてフランスまで連れて行かれたそのツアー客たちは、ワイン倉に誘導されたり無理矢理な観光に連れ出されたりしながらのダブルブッキング生活を送るわけです。まあしかし、そんなに上手く事は運ぶわけはなく、良心の呵責に耐えきれなくなったツアコンが告白したのをきっかけに、接点のなかった二つのツアー客たちは交わるようになります。

彼らのフランス旅行を盛り上げるのは、由緒あるホテルのコンシェルジュが語るフランスと「王妃の館」の歴史です。史実として語られはじめたその物語は、ベストセラー北白川右京センセイの筆をもって芸術品へと昇華していきます。いつしかルイ14世の時代と現代が交差しあうさまは面白かったですね。ドタバタ劇ではありましたけど。登場人物はお笑いにありがちなステレオタイプの人が多いのですが、その分各人の苦悩がわかりやすく、あまり深く考えずに笑えるししんみりも出来ました。

初出を見たら、「メイプル」となっています。こういうはちゃめちゃものを女性誌で連載していたとはこれまた驚きです。実のところ最初はあまりの馬鹿馬鹿しさに呆れていたのです、ところが次第に読み進むスピードが加速。クライマックスは飲み過ぎの頭にも関わらず必死に読み進めました。それだけ面白かったという事ですね。しかも、浅田次郎さんらしく人情もたっぷりなので、ちょっとほろりとさせられます。しかし、40を目の前に見ながらリストラされて退職金を200万のこのツアーにつぎ込んでしまうカオリさんの姿を見ているとあまり他人事とは思えません。嗚呼。
【楽天ブックススタッフ 瑞】


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