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| 2002/12/5 |
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『天国の本屋』
著 者:松久淳/田中渉 出版社:かまくら春秋社
発行日:2000年12月 本体価格:1,000円
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こういう純粋な物語に感動しましたと明かすのは、気恥ずかしさに少しためらってしまいます。しかし、天国の本屋さんで朗読される『泣いた赤おに』の童話が、この物語の中で読むとその一節に泣けてきそうになるのは、そんな気持ちにさせる世界をこの物語が作り出しているからこそでしょう。恋の切なさ、死んでしまったおばあちゃんや弟への愛情、そんなものがほんわかと描かれていて、やっぱり、「この本よかった」と素直に言ってもいい気がしてきました。
短いお話だし、この読書日記を書く前に、2度読み返してみました。さとしが天国の本屋さんで本を朗読してお客さんから拍手を受ける場面があるのですが、読み返したときには、そのあたりで既にじんときたりして、もうすっかり物語に入り込んでしまいました。ユイとの恋の話もともかく、何も目的なく過ごしてきたさとしが、ここ天国の本屋で、本を読んであげることを通じて、誰かに何かを求められること、人に何かを与えるという嬉しさを知ることに、私は読んでいてとても嬉しい気持ちになれました。
さとしはこう言います。「なんかオレ、すごく生きてるって感じがする」。ただ人の役に立てた喜びだけでなく、本を介して人と心を通わせるという喜びが、さとしをこういう気持ちにさせたのでしょう。本を朗読して聞かせるという行為が、こんなにも人と人の心をつなぐものだったのかと、驚きさえ感じました。
この本が「大好きな人に贈りたくなる本」と言われるのもわかる気がします。一緒に「よかったね」と、1冊の本をそんなふうに大好きな人と2人で味わえたら幸せだろうなと、微笑み合って感想を話す2人の姿を思い浮かべて、いっそうほんわかした気持ちになれました。
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【楽天スタッフ 笑】 |
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