これ、面白い!様々な書評を読むと辛口書評が目立つのだけれど、私は好きです。もし宮部みゆきさんなんかが同じ素材を料理したら、技術的にもっともっと凄いものを書いてくれそうなんだけど、歪んだシンデレラストーリーを真っ向から書いてくれていろいろ楽しませてもらったので◎評価です。
主人公のダニー・エイプリルは、ふとしたことから昔出会った少女(美人)の写真を見つけ、彼女の現在に好奇心を持ちます。で、なぜかその想いを募らせて数少ない手がかりを元に、血眼になって彼女の足跡探しを始めるのです。各章は2本立てになっていて、その1がダニーの視点・その2はその女性の視点で過去から現在に至るまでが語られていきます。彼女(クラッシー・アルマーニスキー)というのがこれまた稀代の悪女。貧困から抜け出すためには何でもやるし、どんな男でも踏み台にしてしまうという徹底っぷり。「そうか、こうやって男を手玉に取ればいいのね!」なんて意味のない納得をしてみたりしました…(美人じゃなきゃ無理だって)
彼女の足跡を追うダニーは、そういった数々の証拠に出会うたびに「ひどい男に騙されて辛い思いをしてたんだな。」とか「彼女は仕事のできる女なんだな」とか都合のいい解釈をして、彼女を悲劇のヒロインに形作っていくのです。「純愛だなぁ…」なんて気楽に考えて読んでましたが、よく考えてみたらこの上ないくらい手の込んだストーカーですね。ストーカーの狂気を感じながら読むと見えてくるものがちょっと変わってきますが、純愛物語と割り切った方が結末に向けての展開はより面白く読めるはずです。でもこれを通して、物事の二面性というものを強く感じました。これが今回第一の教訓です。
そんなこんなで交互に語られる2人は、結末に向けて距離を縮めてきます。そして交差…
それまでの様子を見ていると予測がつく展開ではあるのですが、やっぱりこう来たかという思いと、これからどうなるんだろうという想像とでまだまだ楽しんでます。とにかく救いようのないくらいの酷い話なんですが、見事な騙しっぷりと騙されっぷりに胸のすく思い。これまたいろいろ議論を呼びそうな本なので、ぜひぜひ色んな人にオススメしてみます。
【教訓】美しい薔薇には刺がある。けど、指に刺さっても快感を憶える人もいるみたい。 |