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| 2002/11/26 |
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『太陽がイッパイいっぱい』
著 者:三羽省吾 出版社:新潮社
発行日:2002年11月 本体価格:1,300円
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現代のプロレタリア文学です(いや、青春小説かも)。そしてこの全編を通じる明るさがやっぱ現代よねって感じ。(そもそもプロレタリア文学という言葉そのものにものすごい暗〜いイメージを持っていたのですが、こんな本が出てました。)そもそも好きな部類の話ではなかったため、それほど期待せずに読み始めたのですがこれが面白い!工事現場の解体屋として働く若者達(+おじさんたち)を描いた青春もので、とにかく勢いがあって(舞台がナニワだし)けたたましいほどに賑やかなのです。
ケンカはするわ、女の子はナンパするわ、毎日の日課は立ち飲み屋通い。男同士の話は下品なことこの上ないんだけど、とにかく生命力を感じるのです。あぁこういうパワーを感じる本って久しく出会わなかったなぁ〜。主人公のイズミ(♂)はそもそも彼女に「海外旅行へ行きたいの♪」なんてお願いをされて割のいい肉体労働を始めたのですが、働いた後のビールの美味さの虜になってそのまま真剣に労働を始めてしまったというエピソードの持ち主です。そんな感覚がなんとなく理解できて、ちょっと羨ましかった私でした。
ステレオタイプといえばステレオタイプな登場人物たちがうまくとけあって(たまにはぶつかって)一つのストーリーになるわけだけど、“綺麗なハーモニーを奏でる”とか“おでんのような良い味わい”とかそういう雰囲気では全くなくて一人一人のキャラが良く書けていて、凄い力で自己主張してくるところが魅力でした。それほど大それた事件が起こるわけじゃなかったけど、普段デスクワークと通勤ばかりの日々を送っている私には適度に刺激的です。
こういう仕事をやっていると、人より早く面白い本に出会ったということが一番の悦びです。“浅田次郎絶賛”とある新人賞受賞ものなので面白くて当たり前のところはありますが、これからどんな小説を書いてくれるか本当に楽しみな作家に出会いました。汗くさい小説だったけど、読み終わったら気分は意外にさわやかでした。「何か面白い本ある?」と聞かれたらしばらくはこれを挙げると思います。本好き仲間達にも積極的に吹聴してみよっと。 |
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【楽天ブックススタッフ 瑞】 |
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