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| 2002/11/19 |
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『水の時計』
著 者:初野晴 出版社:角川書店
発行日:2002年05月 本体価格:1,500円
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装丁に惹かれて買った本はこれが初めてかもしれません。
季節は夏でした。うだるような暑さの中、街を歩いていた私は涼をもとめて書店に立ち寄りました。実は身体だけでなく視覚も涼をもとめていたようです。真っ先にこの本にセンサーが働きました。
そう深くはない海の中を思わせるような、青と水色で構成された表紙。空から海へと注ぐ太陽の光の反射を忠実に再現した紙質。うすく施された凹凸模様が、銀色で記されたタイトルとともに、角度を変えるたびにキラキラ輝くのです。
こんなにも凝った装丁のおかげで私はだいぶ涼しくなってきました。気持ちはすでに海水に片足を浸した状態です。さてこれからが問題です。果たしてこの小説は私のココロまでも冷やしてくれるのでしょうか。
ここで力を発揮するのがなんと言っても帯のキャッチ・コピーです。
その1「横溝正史ミステリ大賞受賞作」・・ミステリ=涼しいにちがいない(安直)ということで1ポイント。
その2「全選考委員(綾辻行人氏・内田康夫氏・北村薫氏・坂東眞砂子氏)絶賛!」・・錚々たるメンバーではないですか!きっと面白いにちがいない(安直)ということで2ポイント。
その3「(前略)――透明感あふれる筆致で生と死の狭間を描いた、ファンタジックな寓話ミステリ」・・オスカー・ワイルドの『幸福の王子』に想を得ているそうです。まさにミステリというよりファンタジー。この夏の読書はこれに決まり!お買い上げです。(以上、筆者の回想でした。あれから数ヶ月・・季節はすっかり秋。朝晩めっきり冷え込んでまいりました)
海の満ち干きは月の満ち欠けにも影響を受けているといわれます。この本の装丁の深い青は宇宙の碧をも表しているのでしょう。そしてこの輝きは太陽の光でしか輝くことのできない月明かり・・それはまるで、自らの臓器を、移植を必要としている人々に分け与えることで自己の存在をアピールしようとしている少女・葉月の生(いのち)の輝きのようです。装丁がここまで物語の内容を表現している本に出会ったのは初めてかもしれません。 |
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【楽天ブックススタッフ 由】 |
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