うっかり船から海に落ち、漂流して無人島に流れ着いた「ぼく」。トム・ハンクス主演映画の『キャスト・アウェイ』と状況が似ています。大きく違うのは「ぼく」は現代社会に帰ろうと必死にならないところ。島の暮らしもいいなぁ・・・と妙になじんでしまうのです。適応性の高い人とはこういう人なんでしょう。
運命を嘆いたりせず、淡々とひとつの生命体としてサヴァイブしていく「ぼく」。男性はここに強く興味をひかれる人も多いみたいなのです。が、私はそれよりも物語後半の現代社会に帰ろうかどうしようか迷う部分に心ひかれました。ストーリーがどうなるのかという問題ではなく、文章のなかに「このセリフ・・・この考え方・・・すごい」というキラッとひかる一文がたくさんあるのです。運命のイタズラで、凄い経験をした「ぼく」はある意味別人になります。人とは違う経験をした「ある男」のこころのなか・・・とても参考になりました。おもしろかったです。そして全般的にアップダウンが激しいストーリー展開なのですが、テンションは静かに落ち着いて進みます。この余裕を見習いたいものです。私は何かあるたびに大騒ぎしてしまうタイプなので・・・。これではサヴァイブ不可能ですよね(笑) |