| <<前日の日記へ | 翌日の日記へ>> |
| 2002/10/11 |
 |
『流星ワゴン』
著 者:重松清 出版社:講談社
発行日:2002年02月 本体価格:1,700円
|
主人公、永田さんの目の前に1台のワゴン(オデッセイ)が止まります。永田家は妻はテレクラで不倫を繰り返し、息子は家庭内暴力、そして永田さん本人もリストラされるという崩壊家庭でした。「もう死んでしまいたい…」と思っていた彼はそのワゴンの中に招かれるのです。ワゴンを運転しているのは、5年前に自動車事故で亡くなった橋本親子。橋本さんの運転する車は大切な時を目指して動き始めます…
「泣ける泣ける」と何回も聞いていて構えてしまったせいか、泣き所を逃したまま淡々と読み終えてしまいました。(涙が出なかっただけで、感動はしました)初めて重松清作品に触れたのが『ナイフ』。切っ先が胸を突き刺すような繊細さが衝撃的だったなぁと思い出し、いつの間にかビックな作家になってしまったなぁ(そりゃそうだ、今では直木賞作家だもの)と読む手を止めて過ぎた時に思いを馳せたりしつつ読んでいました。
いきなりオチの話をするのは反則でしょうが、めでたしめでたしの大団円に必ず着地させてくれる浅田次郎さんの作品とは対照的に、重松さんの書く人間模様はあくまで等身大です。ハッキリ言えば「人生そんなに甘くないってことよ。」って結果に落ち着くことが多いです。もちろんそこにたどり着くまでのプロセスが大事なので、結果についての善し悪し判断は読み手の好みで判断すべきでしょう。
「あの時もし…」という事を描いたということでは以前読んだ『Y』との対比を興味深く読みました。多分きっと時を超えたり、戻ったりしたところで本当の時間の流れは変わらないし、他の選択肢がバラ色の未来に繋がっているとも限らない。だからこそ現在と過去の過程をきっちり見据えて生きてかなきゃいけないんですね。ただ、自分が変わることで何かを変えることは出来るのかな?とささやかな希望を感じたりもしています。“中年男性が続々泣いている”と話題の本書、どこで泣いたのかを既読の方に聞いてみなかったのが残念なんですけど、もしかしたら死に向かう父親との対峙という部分なんじゃないかとにらんでいます。どうでしょう?
あ、あと今回はやたらリアリティのある濡れ場が多かったです。これも人気の秘密なのかしら? |
|
【楽天ブックススタッフ 瑞】 |
|