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| 2002/1/24 |
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『ベター・ハーフ』
著 者:唯川恵 出版社:集英社
発行日:2000年01月 本体価格:1,700円
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「ベター・ハーフ」という夢のあるタイトルに比べて、宣伝文句にあるのは
「どうして結婚なんかしたのだろう」「それでも別れられないのはなぜだろう」
「結婚生活の実態に挑む長編小説」といった、どろどろした言葉です。私がひかれたのはもちろん後者のほうで、物語の内容は果たして「どろどろ」のほうでした。まずは、披露宴の始まる直前、新婦永遠子の控室で、新郎文彦の女関係で事件発生。結婚生活は悲惨なスタートを切ります。成田離婚寸前のところで、たまたま別れそこねてしまうのですが、そのあとも、トラブルは続く続くで、お互い、昔の女、昔の男は出て来るし、不倫はするし、会社は倒産するし、大病もするし、文字通り「どうして別れないのだろう」と不思議なくらいの結婚生活です。
すさんだ関係の中、二人が口論をする場面が何度もあります。それが、読んでいておかしくなるくらいの典型的な「口論」なのです。自分の非は認めず、相手を攻撃することで自分を守ろうとする、切りつけ合うだけ、結局お互いを不幸にするだけの、不毛な言葉のやりとり。でも、「ありそう、ありそう」と妙に納得しながら私は楽しんで読んでしまいました。
結婚して 10 年も過ぎたある日、またひどい口論が始まります。そこで文彦が口にしたのは「じゃあ、なんで結婚したんだ」という究極の問いでした。ぐっと詰まった永遠子がそこで吐き出した一言で、二人をさえぎる厚い壁がやっと融けていった気がします。胸の奥底にあったその気持ちを、もっと早く確かめ合えていたら、10 年以上も、ささくれ立った生活を送ることはなかっただろうに。素直になればよかったのです。
さて、トラブル続きと上に書きましたが、10 年余りの結婚生活が描かれているのだから、そんな事件の日々は実際はほんの一部のはずだと、ふと気づきました。それ以外は、特に何事もない、昨日の続きの今日、今日の続きの明日、それが「生活」というものであり、華々しい恋愛とは違った「日常」を過ごしていく相手が「ベター・ハーフ」なのかなという気がします。「結婚はオスとメスを緩やかに去勢してゆく」という言葉が印象的だったのですが、去勢される一方で、穏やかな「日常」を手にいれるのが結婚なのかもしれません。それが「幸せ」と呼ばれているものなのでしょうか。
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【楽天スタッフ 笑】 |
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