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| 2002/1/10 |
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『東京タワー』
著 者:江國香織 出版社:マガジンハウス
発行日:2001/12 本体価格:1,400円
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“恋はするものじゃなく、落ちるものだ”というコトバに惹かれて手にとってみました。(もっとも江國さんの本だからいずれは読んだとは思いますが)19才の男の子、透が落ちたのはまさしくこんなコトバがぴったりの恋です。相手は母親を通じて親しくなった女性、詩史さん。やりてのキャリアウーマンらしい彼女は透よりずいぶん年上で、自分が夢中になれる仕事と、一緒に住む夫がいます。大学生の透にとっては思うように会えないし、一緒に夜を過ごすこともままならない詩史との関係は非常にじれったいものでした。情熱的に「一緒に住もう」なんて言ってはみるものの「一緒に住みたい人と、一緒にすごしたい人は別なの・・」なんてかわされちゃったりして、読んでいるこちらもいじましい気分にさせられます。そういうセリフをさらっと言えてしまう(それでも男性陣が離れようとしない)詩史にちょびっと羨ましさもありますね。
同時に進められる恋模様に透の友人の耕二くんというひとが出てきます。彼はもうちょっとしたたかで、同年代の恋人がいつつも人妻との官能的な恋愛を楽しんでいました。耕二にとってはどちらかというとゲーム感覚に今どきの大学生の生活を謳歌していたつもりだったと思うのですが、次第に彼も“恋に落ちて”しまっていたという事が明らかになるさまは見事です。特に、終盤恋人の一言で視点ががらっと180度変わったところには心の中で思わず拍手喝采していました。
江國さんの小説に出てくる人たちはどこか無機質で違う世界の住人のような感じがあります。(あんまりにもハイソすぎるから自己投影が出来ないだけかもしれませんが・・・)それでも次々に読みたいと思ってしまうのは、その女の子たちの些細な行動や想いに重なるところがあるからからかもしれません。そこへ行くと今回は初の男性主人公ものですから、女性にとっては「物語のなかに入り込めない」という感想を持たれるかたがいるようです。でも、登場してくる女の子(女の人)の視点にたってみるとがらっと見え方が変わってきます。年下の男の子とつきあう女性は果たして男の子を手玉にとっているのか、それともやっぱり女性も苦しみながら恋に落ちてしまっているのか?これを読んで考えてみませんか? |
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【楽天ブックススタッフ 瑞】 |
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