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| 2001/9/3 |
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『翼はいつまでも』
著 者:川上健一 出版社:集英社
発行日:2001/07 本体価格:1,600円
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自分で本を選ぶときにそれほど書評を意識したためしは無かったのですが、気がつくと手に取っています。北上次郎絶賛!なんて一文でころっと来てしまう経験はきっとワタシだけではあるまい・・・
で、北上次郎さんがぐりぐりの◎をつけていたのがこちら。
ページをめくると野球シーンから物語が始まります。主人公の神山くんは万年ボール拾いらしい雰囲気。東北弁をしゃべり、ビートルズの音楽になにか凄いものを感じている中学生でした。この世代らしく性への興味が尽きないところがちょっと可愛いところ・・・おっベタベタな青春小説!というのが読み始めの印象。
教師と対立したり、無理矢理決まりを破ってみたり、喧嘩の末の友情物語があったり、マドンナ的な生徒にちょっと憧れて・・・という型どおりの青春小説(少年小説?)が展開されていきます。そう、ここの段階ではこの本の評価はあんまり良いとは言えなかったのです。ところが!(これから先、肝心な事を書いてしまうかもしれないから、未読の方はご注意下さい)
第2章に入って物語はぐぐっと大転機を迎えます。神山少年がオトコになるため、十和田湖畔にキャンプに行くというのがその事件のきっかけになるのですが、ここで彼は本当の恋を知ります。恋に憧れる少年が恋に芽生えるその瞬間は見物です。相手は非常に身近なところにいて何となく心の通じ合いを感じていた相手、斉藤多恵ちゃん。ちょっと引っ込み思案でいじめられっこ気味だった彼女の秘密が明らかにされていく過程は、とっても素敵な文章。ホロリときました。なんだろう、ものすごく彼女が伸びやかに描かれているんです。すっきり凛とした多恵ちゃんの笑顔が見えるようでした。あぁそうか、女の子にとって14歳なんて時は羽化途中のイモムシみたいな時代ですものね。(イマドキの子はすっかり美しい子が増えちゃったけど)羽ばたこうとしている多恵ちゃんを支える神山少年の男気にまたまたホロリ。
中学2年の夏休み、みんなちょっとだけ大人になった彼らの青春ストーリーでした。最後の最後が同期会のシーンなのですがこれがまた上手い。瞬時に色彩が反転して、中学時代の物語がセピア色に見えてしまったのは私の気のせいでしょうか。最後の最後にまたホロリ。
私にとっては女の子たちの成長の様子の方が興味深かったんですが、1960年代に少年期を過ごした方たちにとってはたまらない小説でしょう、たぶん。子どもの頃の夏休みを思い出してたまらない気分になっています。 |
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【楽天ブックススタッフ 瑞】 |
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