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| 2001/9/21 |
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『螺旋階段のアリス』
著 者:加納朋子 出版社:文藝春秋
発行日:2000/11 本体価格:1,524円
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ミステリを読むとはいっても、実はドロドロの殺人事件が好きなわけではなく、ただ単に謎が解かれていく過程が面白いのです。そんな私にはやっぱり“日常の謎”派が向いているんだろうなぁと思う今日この頃です。で、加納朋子。疲れたときにはこれに限ります。
探偵役は脱サラをして念願の探偵になった仁木順平。彼の閑古鳥が鳴いているオフィスに美少女の安梨沙が訪れたときから不思議な探偵コンビが出来上ります。やってくる客は奇妙な客ばかり、自宅に隠してあるはずの貸金庫の鍵を探して欲しい主婦【螺旋階段のアリス】・自分が浮気をしていないことを調査して欲しいとやってきた女性【裏窓のアリス】行方不明になった愛犬を探して欲しいという老婦人【中庭のアリス】・誰もいないところで鳴る地下室の電話の相談をもちかけた地下室の番人【地下室のアリス】・・・と、探偵としてはちょっと物足りない事件がほとんどです。
でも、事件の裏には一筋縄ではいかない心模様があって、仁木とアリス(安梨沙)がその絡み合った糸までほどいていくかのようでした。これがこの小説の醍醐味なんですね。軽く読めてしまいますが、もちろんパズル的な要素もきちんとあって、伏線もじっくり張りめぐらされています。このあたり、さすが鮎川哲也賞受賞作家!
50過ぎの仁木と年齢不詳の美少女(10代後半に見えるらしい)の組み合わせということで、仁木は少年のように照れたりはにかんだりします。短絡的な私はすぐに「恋の予感♪」なんて思ったりしてしまうのですが、仁木にはしっかりものの奥様がいて、さりげなくそういう色を消してあります。だからこそ、不思議の国のアリスの世界とさりげなく融合していくのかもしれません。おとぎ話のようなパステルカラーの一冊でした。 |
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【楽天ブックススタッフ 瑞】 |
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