ドラクエやFFといったゲームに夢中になっていた子どもの頃(受験の前の日にもゲームをして親に悲しがられた記憶が蘇ってきました)人に先に謎を解かれるのが何より悲しかったのを憶えています。よりによって“一日一時間”なんていう決まりを作られていたので、寝食忘れて取り組むわけにもいかず・・・謎をいかに効率的に解こうかと真剣に考えました。あの、集中力を他に活かせていたらもっと成績も良かったんでしょう。残念です。
今回の宮部みゆきは文庫書き下ろし。476円で宮部みゆきの新作が読めるなんてファンにはたまらない事です(本屋としては単行本で出して欲しいことやまやまなのですが)大変なページ数だった『模倣犯』とは比べものにならず、ページ数控えめなので、すぐに読めてしまいます。だから、発売日翌日あたりから「読みました?」という問い合わせが多発し、やきもきさせられたものです。良質の謎は人より早く解きたいし、人より早く騙されたい。これは贅沢な要望でしょうか・・・?そんな焦りのなかで、前述のようなゲームの早解き競争を思い出したのでした。
で、今回はすっかりダマされました。途中から「まぁオチは大体読めたわ」なんて余裕しゃくしゃくでいたにも関わらず、まんまと引っかけられました。それはもう9回裏の逆転満塁ホームランって感じです。以前劇団四季の舞台で『スルース』という推理劇を見たことがあるのですが、あの時以来の見事なはめられっぷりにただただ脱帽でした。
2つの類似性を感じずにはいられなかったのは、舞台が非常に限定されているという所です。お芝居の舞台は限定が当たり前ですが、この作品もほとんどは警察の中を舞台に進みます。解説を読むと宮部さんが戯曲を書きたくてこういうスタイルを取ったということがわかるのですが、余分のとれたすっきりした展開がとにかく巧いのです。その中にも父性や母性を描いているあたり、いやぁさすがだなぁ・・・
とにかくページをめくったらジェットコースターに乗ったと思ってください。読み終わるまでは降りられません(というかおりたらもったいないかも)で、心地よいだまされっぷりにひたることをおすすめします。ちなみに、私はクライマックスシーン途中に下車駅にさしかかり仕方なく乗り越しました。先日【朋】ちゃんも書いていましたが、口から出そうになってもミステリの感想というのは書くのが難しいものです。だからこそ、読んだ人が集まって本を肴にワイワイやるのは楽しいことなのですね。 |