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| 2001/8/13 |
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『続巷説百物語』
著 者:京極夏彦 出版社:角川書店
発行日:2001/05 本体価格:2,000円
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“言霊に絡めとられる”という言葉しか出てこないのです、京極さんの文章からは。京極堂シリーズもさておき、又市が活躍するこちらのシリーズは大仕掛けがあるので本当にいつも良くダマされます。たまに冷静になってみると「あぁこれってミステリなのね。」なんて思ってしまうのですが、ダマされる快感に酔いしれる今日この頃。
又市という男は小股潜り(今の時代で言うと詐欺師とかになるんですかねぇ)。この小悪党仲間にはおぎんという人形遣いやら変装の名人である治平さんなんかがいます。でもって、堅気な人なのに何となくいつも上手く使われて巻き込まれる百介という人がいて、周囲にいろんな妖怪絡み事件がおこるというのがいつものパターン。百介さんという人は考物の先生、要はなぞなぞを考えて小金を稼ぎつつのんびり過ごす蝋燭問屋の若旦那なのですが、実は妖怪の話を集めて百物語を書こうと思っている物書きです。
又市は決して義賊ではないのですが、大がかりな仕掛けをして小さな藩や集落をまるまる騙し、深く根付いた人の悪意から解放します。騙す過程で起こる不思議なことを妖怪と結びつけるのが百介の役割なのです。すべてを妖怪のせいと丸め込むというのはちょうど京極堂の対極を行きますね。この丸め込ませ方といったら本当に見事です。
前作『巷説百物語』が軽快な短編だった気がするのですが、今回は重く残虐です。そんなやりきれない雰囲気の中、すべての駒が気がつくと配置されていてすべては一点に収束していく・・・凝りすぎのきらいもありますが、これが京極作品の魅力なのだと思っています。誰にでも薦められるのかは怪しいですが、この興奮は誰かに知って欲しいモノではあります。そしてこの本の最後で又市の仕掛けも幕引きを迎えてしまいます。仕方がないと思う反面一抹の寂しさが・・・
長い重いと思いつつ、ページをめくる手が止められない。そんな小説にどっぷりはまっていられる時間が何よりの幸せ。(もっと違う幸せ求めろという声が各地から聞こえて来そうですが・・)あぁ早く新作出して〜 |
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【楽天ブックススタッフ 瑞】 |
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