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| 2001/7/23 |
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『シーズ・ザ・デイ』
著 者:鈴木光司 出版社:新潮社
発行日:2001/04 本体価格:1,800円
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鈴木光司さんというと、すっかり『リング』が有名になりましたが、私はデビュー作でもある『楽園』が一番好きなのです。
ホラーものの印象とは違って、鈴木光司さんの描く冒険小説は明日を感じさせる力があると思っています。一度お会いしたことがあるのですが、その時サイン色紙を書いていただいて感激した経験があります。その時いただいた言葉も「未来は明るい!」という力強い言葉でした。
今回の小説も海を舞台にした冒険小説になっています。時は16年前、太平洋横断を志した男女はフィジー沖でそのヨットを沈めます。その事故は主人公船越の人生に影を落としていたのですが、あるきっかけにそれがよみがえってきます。
一つのきっかけは妻との離婚でした。仕事人間だった船越はあっさりと妻に見捨てられ、マンションを手放し船での生活を始めます。船の元の持ち主だった岡崎を介して知り合った、岡崎の娘裕子から、沈没の末行方不明になった船を見つけたと告げられて船越の心は揺らぎ始めます。
もう一つのきっかけは突如現れた娘、陽子の存在です。母親は16年前に付き合っていた月子という破天荒な女性。この人は相当にエキセントリックな人です。陽子は中学生なのですが、妊娠して親の元から姿を隠し、子どもを産もうとします。しかし残念ながらその子は死産。心身ともに傷ついた彼女を船越は船乗りとして育てていく。親から子へ受け継がれていく何かを語るお話しでした。
単なる「傷ついた男の自己再生」という物語にとどまらず、生きる力と受け継がれていく血を感じる作品になっています。
娘の成長の姿をくっきりと感じるあたり、それから海の青さがまぶたに浮かぶあたり、海と娘さんをこよなく愛しているらしい方ならではの作品なのかなぁと感じています。
しかし、海の上でぼーっと海面を見ていると本当に些細な悩み事が飛んでいくようですね。最近つくづくそう思います。 |
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【楽天ブックススタッフ 瑞】 |
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