| <<前日の日記へ | 翌日の日記へ>> |
| 2001/6/8 |
 |
『風流冷飯伝』
著 者:米村圭伍 出版社:新潮社
発行日:1999/06 本体価格:1,500円
|
米村圭伍の江戸もの、ついにデビュー作までたどり着いてしまいました。読み始めてから一ヶ月も経っていませんから、これがどれだけ面白いかわかって頂けますでしょうか?
今回の主人公は一八(お仙ちゃんのお兄さんです)と風見藩の冷飯たち。冷飯っていうのは武家の次男坊三男坊で、婿にでもいかなければ仕事も無いという人達のこと。(というのは常識なのかもしれませんが、私はこれを読むまで知りませんでした。この本を読むとこういう知識がつきます。中でも岡場所系の話はものすごい!)
冷飯なんて言葉からもわかるように、あんまり良い境遇に無いはずの人ばかりなのですが、ここがやっぱり風見藩。そういう境遇を思いっきり笑い飛ばしてくれています。人の観察が趣味だったり、ひがな釣り糸を垂らしているのが日課だったり、ちょっと風変わりな人達ばかり。風変わりに輪をかけているのが藩主がつくった掟。城内を回るときには男と女同じほうから回ってはいけない。とか、将棋を指してはいけない等々・・あんまりにもあほらしい掟に一八は呆れますが、よくよく考えてみるとここには外敵から身を守る工夫が感じられたりもするのです。
一八は一応幕府お庭番(なのかなぁ)。密命を受けて風見藩に侵入したことになっています。それなのに、すっかり冷飯たちに馴染んでしまってほんわかしていて世間知らずの危なっかしい面々の世話を焼いたりしています。根っからの人好きなところはお仙ちゃんとめだか姫のつきあいを見るようで大変ほほえましいところ。
そんな風見藩の住人たちに参勤交代で帰ってきた藩主は、将棋勝負の課題を出します。なんと藩の将来を将棋の駒にかけてしまったらしい!そんな降って湧いた話で小さな藩は大騒ぎ。
とにかくこの話悪いヤツが出てこないんです。本当にほんわかいい人ばっかりで、一生懸命で、心が洗われます。冗談交じりの小説家と思いきや、素晴らしい伏線がいくつも敷いてあったりもして唸らせられる場面もいくつかありました。人の悪意を描いた本が多い中、こういう本に出会えるのは本当に良いですね。新作が楽しみでなりません。 |
|
【楽天ブックススタッフ 瑞】 |
|