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| 2001/6/28 |
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『鳥類学者のファンタジア』
著 者:奥泉光 出版社:集英社
発行日:2001/04 本体価格:2,300円
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これは非常にあとを引く小説です。一番気になってしまうのは『鳥類学者のファンタジア』という書名。何で?
ピアニストのフォギーこと池永希梨子はある日奇妙な人物に出会います。その人は霧子と名乗るのですが、霧子といったら彼女の祖母。戦時中行方不明になったピアニストなのです。そんな出来事で混乱したフォギーはオルゴールの音色を聴きながら不思議な旅に出掛けます。旅先はナチスが台頭していたドイツ、はるか昔です。
そこで、都合良く霧子に会ったフォギーは奇妙な共同生活を始めますが、なぜか現代の世界の弟子である佐知子ちゃんまで紛れ込んで会う人会う人に影響を与えていくのです。
読む人によっていろいろな感想があるのは当たり前ですし、読み方も多様だとは思うのですが、私がこの話で一番興味を持ったのはフォギーの性格です。霧子もその血をひくフォギーも相当なウカツ因子を持った人達で、笑ってしまうような思いこみを繰り返す所がなかなか面白いです。この物語はフォギーの目を通して語られますが、世の中のいろいろなモノに対して一人でボケて突っ込むという姿に感銘を受けました。こういうことばっかり気になって話を読み進めていたので、日常を描いた些末な所ばかり頭に残っています。
北村薫の「私シリーズ」のなかのどれかで“こいくちしょうゆという表記がこんちくしょうゆに見えて仕方がない”というくだりがあるのですが、フォギーの勘違いとか思いこみ一人突っ込みはこのノリのオンパレードです。私もどちらかというと、世の中をそういう目で見ていることが多いので(斜に構えているということなのかもしれませんが)親近感を持てました。しかし、それを文学として開花させたのが奥泉さん。一人でいろいろ想像だけしてささやかにほくそ笑んでるのが私。と、才能の違いによってずいぶん違うものですね。
なんとなくなんとなく読み進んでしまい。なんとなく読み終わっている。えらく奇妙な小説です。2001年のベスト小説が選ばれる時にもなんとなく登場してくるのでしょうね。鳥類学者がどこにも出てこない『鳥類学者のファンタジア』何か深い意味があるのでしょうか?やっぱり気になります。 |
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【楽天ブックススタッフ 瑞】 |
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