この作品は、最近上映された映画「スターリングラード」と同じ題材を取り扱ったもので、第二次大戦中、ソ連の都市スターリングラードを巡る攻防戦の中、双方の暗殺を指令された、ドイツとソ連の2人の天才狙撃手、トルヴァルト大佐とザイツェフ曹長の戦いを描いた作品です。このスターリングラードの攻防戦での、独ソ両軍の戦死者は110万人と言われており、前線を拡大するために、1つの家や、1つの部屋を奪いあい、そのために何百人もの兵士が死んでいく。そんな僅か数メートル攻防を兵士達は「鼠たちの戦争」と揶揄していたことからこの題名がついています。
もともと、この本を読んでから映画を見に行こうと思っていたのですが、あまりにも凄惨な内容なので見に行くのをやめました。もっとも、映画では、ザイツェフ曹長と、ソ連の女性狙撃手ターニャとの恋愛が、もう一つの軸になっているようなので、切り口は少し変わっているのかもしれません。ただ、従来の戦争映画においては、そのどこかに、戦争を美化したり、美化しないまでも、戦争の悲惨さを伝えきれていない部分があり、それが気になりました。50万の人口を数えた大都市で、戦闘終結後に生き残っていた民間人は1500人しかいなかったという事実や、遠隔地から戦争を指揮していたソ連の高官が、やがて国の中枢に入っていく、という理不尽さを考えると、映画「スターリングラード」を見に行った人にも是非読んでもらいたいと思います。
肝心な小説の内容ですが、もう少しボリュームがあった方がいいかなと思いました。上下巻のセットとはいえ、狙撃手の心理戦や駆け引きを描くには、文章が少ないように感じます。
それにしても、「ヴォホフストロイェフスカヤ通り」とか、ロシアの地名は読みにくくて大変です。今後、私がドストエフスキーとかを読むことはないでしょう。 |