タイトルの「掌の中の小鳥」という言葉は、賢者と少年の話から来ています。ある少年が「賢者にも絶対解けない問題を考え出した!」と言います。掌に小鳥を隠して「掌の中の小鳥は生きているか、死んでいるか?」と尋ねるというのがその問題。生きていると答えたら手で小鳥を握りつぶす。死んでいると答えたら、次の瞬間小鳥は天高く舞い上がる。そんな主旨の問題でした。さて、賢者はどう答えたか…というのがミステリーになります。答えもこの本の中になりますが、賢者らしい良い答えでちょっと唸ってしまいました。さすが!
こんな謎解きの美しさを思う存分堪能出来るのがこの本。殺人は起こりませんが、ちょっとした事件のちょっとした謎解きが“エッグ・スタンド”というお店を舞台に繰り広げられていきます。登場人物もちょっとミステリアス。若いカップル(ほぼ主人公)を中心にちょっと不思議な老紳士。わけありげな女バーテンダー。
どっぷりハマッテ読んでいるとまるで、自分もこのカウンターに並んでカクテルを傾けているような気分にひたれます。(同じようにどこかのバーでカクテルを片手に読書と洒落込むのも良いかもしれませんね)こんなお店があったら是非行ってみたい、そして常連客になりたいものです。
飲み屋の常連客が謎解きを繰り広げる…という話では同じ東京創元社の『邪馬台国はどこですか?』を思い出しました。(あっちはちょっと喧嘩腰でしたけど)これは日本史の常識を謎解きしながら覆していくという面白い趣向でちょっと前のミステリベストに並んでましたね。
とにかくミステリファンにとっては、お酒を片手に謎解きが出来るっていうのは、最高の贅沢なんでしょうね。私も飲みながら本の話を始めるとすっかり時間を忘れてしまいます。そんな私にKさんが一言「本好きにも悪い人はいるんだからダマされちゃダメだよ。」(笑)
でも、本好きの方々との出会いは格別楽しいものですね。 |