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| 2001/3/16 |
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『永遠(とわ)に去りぬ』
著 者:ロバート・ゴダード 出版社:東京創元社
発行日:2001/02 本体価格:1,120円
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予告通りゴダードの登場です。ミステリベストの常連と言って良いくらいのゴダードですが、実はちょっと苦手。(ごめん)なぜなら、主人公が「どうして、あんたそんなことに首突っ込むのよ」という古風な男ばっかりだから…(だいたいゴシックミステリそのものがあんまり肌に合わなかったのかもしれません)今回も主人公のロビン・ティマリエットはたまたま一瞬時を共にした女性にどっぷりはまりこみ今ひとつ分からない使命感にかられて事件に巻き込まれていきます。
またか!と、思っていたのですが、今回はじっくり読んで目から鱗。私は今まで読み方を間違っていたようです。確かに手に汗握るようなスリリングさは感じないのですが、淡々と伏線が敷かれそれが実を結んでいく様は見事!としか言いようがありません。いや、「プロット」という単語を考えさせられる小説でした。もう一度ゴダードを読み直さないといけませんね。
ロビンは人生の岐路にさしかかったとき、山の尾根を歩きます。その初日黄金色の日暮れ時(ここの描写が何とも言えず素敵!)に出会った女性、たった一言二言言葉を交わしただけだったものの、山から下りてみて彼女が二重殺人の被害者になったという訃報をミミにします。そこまでは単なるニュースですが、彼女と最後に言葉を交わしたのはどうやら自分だったらしいということに気付いて、彼はこの事件にはまっていきます。彼女の残した言葉「あなたとわたし、ほんとうになにかを変えられると思う?」この言葉はロビンの胸に深く突き刺さります。(そりゃそうですね、見ず知らずのきれいな女性からこんな言葉を言われて、挙げ句の果てにそれが最後の言葉だと言うのですから)
「心の傷は時が解決してくれる」なんて言いますが、この1件では時が傷を広げていくことが描かれています。まるで、水に落ちた石の波紋が広がっていくようにいろいろな物事が紡ぎだされていくさまは見事としか言えません。ともするとミステリでは死を死として扱わず、単なる事件として片づけてしまいますが、これは全く違います。血の飛び散る殺人事件嫌いの方にも是非読んで欲しい作品です。
心の傷は時が癒してくれるのでなくて、単なる記憶力の問題なんだなと、思うことしばしの今日この頃です。 |
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【楽天ブックススタッフ 瑞】 |
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