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| 2001/3/14 |
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『プラナリア』
著 者:山本文緒 出版社:文藝春秋
発行日:2000/10 本体価格:1,333円
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この、救いようのない喪失感はなんなんだろう。さらに全編通じて痛いぐらい感じられるけだるさ。この読後感はうまく言葉に言い表せません。『恋愛中毒』で山本文緒を読み始めたのですが、今回の作品についてはどれを読んでも鏡から目を背けたくなるような感覚に襲われます。主人公はほとんど平凡(と言っていいのかどうか…)なOL、ちょうど同世代の人間が多いので身につまされるところが多いというか何というか。とにかく読んでいて憂鬱になってます。
いまさら説明するのもおこがましい話ですが、この作品は先だっての直木賞受賞作。プラナリア/ネイキッド/どこかではないここ/囚われ人のジレンマ/あいあるあした と、5編の短編からなっています。山本文緒を読むたび「男の人はこれを読んで、どう感じるのだろう?」ということを考えます。直木賞受賞時にオール読み物に『プラナリア』と『あいあるあした』が掲載されていました。それを読んだNさん(山本文緒初挑戦)は「なかなか読みやすい。あいあるあしたが面白かった」との評。確かに私も『あいあるあした』を一番面白く読みました。ちなみにこれはある居酒屋にいつの間にか居着いてしまった手相見の女性すみ江さんのお話です。居酒屋のマスターがちょっとほっておけなくなって面倒を見ているうちに、手相を見てもらいたいというお客が寄りつくようになる。すみ江はちゃっかりと自分の飲み代をお客に払わせることで、日銭を稼ぐ。と、なんとなくくすっと笑ってしまう出来事が織りなす日常。という感じでしょうか?他の作品に救いがないものが多いだけに心をなごませてもらえました。
書名にもなっている『プラナリア』は若くして乳ガンになり乳房の除去手術を受けた女性の話です。彼女は生まれ変わったら「プラナリア」になりたいと言います。それの理由は「切っても切っても再生をするから」何とも言えない喪失感を表す言葉で、彼女の仕種の投げやりさを見てもさらにそんな気分がつのりました。人ごとのように言ってはいますが、自分でこんな大病をしたらどうなるだろうか?結婚をしたというのにダンナに逃げられたらどうなるだろうか?恋人に裏切られたらどうなるんだろうか?と、不安になってます。
とにかく心理にぐさぐさ突き刺さる本でした。 |
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【楽天ブックススタッフ 瑞】 |
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