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読書日記 2004年3月31日更新
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2001/2/20
『神無き月十番目の夜』

著 者:飯嶋和一
出版社:河出書房新社
発行日:1997/06
本体価格:1,800円
この本にチャレンジするのは実は3度目になります。いろいろな人が絶賛しているのを聞いていて興味を持ち手に取ったまではいいのですが、なかなか読み進まない。というのも、江戸時代の一村が虐殺の上滅び去ってしまった話なので物語は虐殺後の村から始まるのです。老若男女に至るまでのおびただしい死体。首があるもの、ないもの。山に住む獣に食われた腕、さながらスプラッターホラーで、ホラー嫌いの私はなかなかそこの関門が通れずにいたのでした。そんな私に3度目のチャレンジをさせる気になった要因は二つあります。一つはこの 読書日記を書くため。もう一つは『始祖鳥記』に出会ったことでした。ちょうど一年前『始祖鳥記』を手にした私は「また読み終わらなかったらどうしよう」という危惧を抱いていたのですが、ところがどっこいこれが面白い面白い。どれだけ面白いかは2000年度の本の雑誌ベスト10に選ばれたことでも証明済みかと…自分が面白いと薦めて歩いた本が、こういうところで評価されるのは非常に気分がいいものですね。そんなわけで、読んでみれば面白い飯嶋和一。読まずに置くのはもったいないと3度目の挑戦とあいなったわけです。で、やっぱり面白いんだなぁこれが。

小生瀬の地に使わされた嘉衛門は悪い夢の中と信じたくなるような血なまぐさい現場に行き当たります。300体以上の死体・血の匂い。一体何が起こったのか!(と言うのが序章、私は今までここでギブアップ)そもそも小生瀬という地は割と肥沃で、籐九郎を中心に村が仲良く明るく暮らしてきた地域でした。そこに厳しい検地命令!籐九郎は村を思い、それに反論を唱えます。しかし力で解決するような事は、本当の戦を知っている籐九郎には許せない選択肢なわけです。が、そういう姿勢を弱腰だと思う村の若衆などもいるわけで、ちょっとした気持ちと気持ちのほころびが続いて事は悲劇に向かっていきます。

この籐九郎という男がいい男なんです。戦での働きは凄いけれど偉ぶることはなく、村人の人望は厚い。心やさしくて戦は嫌い血を見るのもイヤだ。思慮深く、まだ若いのに村の重役たちからも、近隣の村人からも尊敬されている。という出来過ぎくらいの設定。こういう人がいればこんな破綻起きるわけないんだろうなぁと思うと、浅はかな若者が余計な事をやってしまうんですね。「あっ、このバカ。なんて余計なことするの!!」なんて突っ込みをしながら手に汗握る読書体験が出来ました。飯嶋さんはとにかく上手い!! ミステリーと呼ぶような作りではないとは思うのだけれど、伏線がじっくり解き明かされていく話の展開には、引き込まれずにはいられません。いや、またいい本に会っちゃったな。
【楽天ブックススタッフ 瑞】


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