『死の蔵書』『幻の特装本』で本好きを唸らせた(少なくとも私は唸った)ジョン・ダニングの新刊です。楽天ブックスニュースを書く作業の中で新刊リストの中からこの本を発見して即刻購入。今までに出た作品も割と厚かったわけなのですが、ついに今回は上下巻(だから読書日記も上下に分かれるってわけです)かなり読みごたえがあります。
読みながら思い出したのですが『死の蔵書』も読み始めが辛かった・・今回もそう。何となく物語の中に入り込めなくて(キャラクターが多いのも要因かもしれません)人物像と、起こっている問題を吸収するまでにしばらく時間がかかりました。今回主人公になるのはジャック・デュラニーという作家(あんまり売れてない)。舞台は1940年代のアメリカということで、まさしく第二次世界大戦のまっただ中です。彼はまだ若いのですが、以前ボクシングをしていて負った耳の難聴が原因で戦争に出向くことなくちょっと荒れた生活を送っています。そんなこんなで喧嘩をして刑務所に入ったところが最初の場面。
そこで面会に来た友人のケンダルからホリーという女性の窮地の知らせを聞くのです。愛する女性の為に脱獄したデュラニーはホリーを探しますが、すでに失踪中。残されたキーワードを頼りに町のラジオ局にたどり着くのです。脱獄者であるデュラニーはラジオ局でジョーダン・テン・エイクという偽名で働き始め、目の前にはさまざまな謎が姿をあらわしてくる・・というのが上巻のあらましです。
上巻を読んだ限りでは謎の方はもやの中にあるようで、謎解き色はそれほど強くありません。ですが、特筆すべきはラジオ局の現場の描き方です。本当に生き生きと描かれた現場の状況は臨場感たっぷりでこちらもそのバタバタ感の中にいるような気分にさせられます。行方不明だったホリーがこれまた偽名で彼の前に登場、しかし全く知らない人同士の振りをするという奇妙な行い・・・謎が謎をよび下巻につづきます。 |