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| 2001/11/5 |
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『そして粛清の扉を』
著 者:黒武洋 出版社:新潮社
発行日:2001/01 本体価格:1,500円
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舞台は私立宝厳高校という、「学級崩壊」という言葉ではとても片づけられないような荒れた高校です。その高校の中でも最も荒れ狂ったクラスの担任を押しつけられた近藤亜矢子は、いつもは非常に地味な先生でした。この為、生徒からも軽蔑されるし、同僚の教師たちからもほとんど無視されているという日々。そんな近藤先生が卒業式の前の日に3年D組の生徒を全員人質にとり、卒業を賭けた大規模な皆殺しゲームを始めます。
卒業を賭けたとはいっても留年なんてかわいいものではなく、逆らったとたんにマカロフでどかんと殺されちゃったり、ナイフを投げられて血を吹き出しながら死んでいったりとそれはもう地獄絵巻。亜矢子は警察も真っ青の生徒の行状レポートを持っていてそれを読み上げながら死刑を執行していくのですが、この行状(ほとんど犯行歴)がとにかく凄い。生徒全てに全凶悪犯罪が当てはまるくらいに全員が悪いことをやっているんです。おやじ狩りなんてのは当たり前、暴走族の総長はいるし放火魔はいるし・・・本当に悪の巣窟。だから、順々に殺されているのを客観的に眺めていてもあまり同情心がわかないんです。
警察も駆けつけて来たものの、亜矢子のしかけたトラップや監視カメラの為にまともに近づくことも出来ないありさまで、現場を仕切る弦間は焦ります。弦間は焦ると同時にもっと他の憤りとか苦悩を抱えているはずなので、もっとその辺のことを書き込んで欲しかったかなと。『バトルロワイアル』に感じたおぞましさと気持ち悪さは感じませんでした、もしかしたらちょっと単調になってしまっている部分もあったのではと思い返しています。でも、ページをめくるスピード感はここのところ読んだ本の中では一番!死が積み重ねられていく最後には大どんでん返しが待っています。ちょっとずるい気もしましたが、逆にここで残された謎と、未解決の部分を第2弾として書いてもらえるのならば許せちゃうかなという所でしょうか。
「被害者だったら何をしてもよいのか!」といった議論はあるかと思いますし、賛否両論話題になりました。でも、倫理と法律を乗りこえて、物事を考えたり新しい視点を持ったりするところにこういう物語の価値がある気がします。今年のベスト小説を決める前にはぜひとも読んでおきたい一冊です。 |
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【楽天ブックススタッフ 瑞】 |
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