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| 2001/11/1 |
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『薔薇いろのメランコリア』
著 者:小池真理子 出版社:角川書店
発行日:2001/10 本体価格:1,500円
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読んでいる時間、頭の中には熟れた果実と青い果実が並んで場所争いをしているようなイメージがつきまとっていました。どちらも嫌らしいほどに官能の匂いにあふれていて、口をつけただけで果汁が出てきそうな感じです。もちろん私の頭の中は薔薇色。
17歳と8カ月の時、立て続けに男に体を売った(それも初体験で)野乃は、18歳の誕生日に前衛詩人のエマに拾われます。その時40に近くなっていたエマは我が儘でエキセントリック、でもあらがいようのない官能的な魅力をもつ女性でした。エマは周囲にいつも男を群がらせていて、野乃はそのお下がりの男と寝るという非常に退廃的な共同生活を送っています。エマがそれを嫉妬するかというと全くそんな事はなく「野乃と男を共有するのが楽しいの」と言う始末。しかしエマが本当の恋と愛を知ったとき、相手の男が愛したのは野乃でした。その瞬間から何かが壊れはじめていくのです・・・
エマが本当に愛した男というのは彼女と同じ詩人、その才能をエマの力で開花させた晋平という若い男性です。エマのそばには常に佐伯という男性が寄り添っていて(彼とは肉体関係がないらしい)他の男性とはちょっと異なった立場にいました。彼と、エマと、野乃。不可思議な三角関係はそれなりに安定した三角形だったのです。そこに突如あらわれた晋平は他の男たちからエマを取り上げると同時に、野乃からもエマを取り上げます。野乃の嫉妬は晋平に向き、その苛立ちをぶつけたのがそもそもの二人の関係のはじまりでした。
結局誰かと共有できるものである限り、それは愛ではないし恋でもないのですね。あらためてそんなことを考えさせられました。たわいもない恋愛ゲームから始まったかのような晋平との関係は、意外に根強く周囲の人間の心を揺さぶり続けます。人生のほとんどの部分をひとつの恋に費やしていく野乃をみていると、結局彼女も本当の恋をしてしまったのだと思わずにはいられません。なんといっても、セックスを娯楽としてとらえて寄ってくる人々を翻弄し続けたエマが恋をした瞬間の描写が秀逸「そうそう恋ってそういうものだよね」とうなずかされました。ラストシーンで残る余韻がまたなんともいえません、振り返ったときこういう色で見えるから恋愛って素敵です。 |
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