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| 2001/10/4 |
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『共犯マジック』
著 者:北森鴻 出版社:徳間書店
発行日:2001/07 本体価格:1,600円
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これは昭和の犯罪史と呼んでもいいかもしれません。とにかく極上の連作ミステリです。
好きな作家は?と聞かれてあげる名前に必ず北森さんは入っているので、作品はできるだけ読むようにしています。得に、作品ごとに色々な試みを見せてくれるので毎回違った楽しみがあります。今回も連作ミステリと言うことで、短編・中編の中にきらりと光るものを期待していました。で、あけてみると登場するのが「フォーチュンブック」という不幸ばかりを予言するという占い本。これはあまりの反響に不健全図書と指定され販売自粛が行われていたという曰く付きの一品です。これを気紛れに売っていた松本市の書店とそこで立て続けに購入をしていった男女が物語を進めて行きます。
実はこの段階では平凡な展開だなぁと高をくくっていたのです。どうせその散らばった「フォーチュンブック」が何人に影響を及ぼして、それなりの展開があるんだろうなぁと・・ところが予想に反して登場人物につきまとうのは昭和の大事件です。ホテルニュージャパンの火災があったり、古いところでは帝銀事件の影が見えたりもします。あさま山荘もあったり、三億円事件もある。そうそう、スタートは大学紛争の時代でした。
何かの事件をミステリのネタにするのはよくある話ですが、ここまで豪勢にさまざまな犯罪を盛り込んだのは例を見ないでしょう。私なぞ基本的に知識がないものですから時代背景や実際の決着がわからなかったのですが、歴史に詳しくても詳しくなくても面白く読めます。改めてその事件を調べてみたくなったりもしましたので、これをきっかけに読書の幅が広がるような気もします。
先日鮎川哲也賞の授賞式に出席させていただいたのですが(東京創元社の皆さん本当にありがとうございました)見回せば作家ばかりという世界に興奮。倉阪先生のところのミーコちゃんにさわったり、敬愛する北村薫先生と写真を撮れたり至福の時を過ごさせて頂きました。会場には北森先生もいらっしゃっていたのですが、緊張のあまり声をかけらず・・・後悔。
絡み合う運命の糸が美しく収束(内容的には悲劇の面もあるわけですが)していくさまにはため息が出ます。さすがです。 |
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【楽天ブックススタッフ 瑞】 |
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