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| 2001/10/19 |
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『闇先案内人』
著 者:大沢在昌 出版社:文藝春秋
発行日:2001/09 本体価格:1,667円
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オビを見ると「追うもプロ、追われるもプロ」と書いてあります。発売時、これをそのままキャッチコピーにしようと思ったら「何のプロだかわかりません。」というご意見をいただきました。確かにおっしゃるとおりですが、現物が手元になかったのでむにゃむにゃと言い訳をした経緯があります。読みきった今、自信をもって説明しましょう!彼ら(主人公は葛原といいます)はプロの“逃がし屋”なのです。
逃がし屋というのは(もちろんハローワークで見つかるような正式な職業ではありません)ワケありで、世の中から自分を抹消しなければならなくなった人に、新しい顔と履歴を与えて海外へと秘密裏に流す非合法組織です。客は跡目争いに巻き込まれたヤクザから、会社の金を使い込んでしまった犯罪者まで多数。もちろんリピーターはありません。全国に数チームがあるようなのですが、関東でも一流と言われる腕を持つ葛原チームに警察が接触するところから本編は始まります。
葛原本人も過去に自分を殺して闇の中に生きる住人ですが、それが弱みになって警察から脅され大変な仕事を受ける羽目になります。その仕事というのが、某国から極秘入国しているらしい跡継ぎの発見でした。その跡継ぎ(林忠一)はどうやら関西の一流の逃がし屋、成滝と行動を共にしているとの情報があり、ここでプロの逃がし屋同士の壮絶な追いかけっこが始まるのです。
この小説、完成までに8年を要しているそうです。物語の仮想敵国を含めて、世界情勢は大きくかわってきたんだなぁということをあらためて実感しています。『新宿鮫』の鮫島さんはアウトローに見えても正義のために生きる人ですが、今回の戦いに参加している登場人物は“大義”の為に動いている。愛国心とはちょっと意味が違うその心の意味が理解できなくて葛原たちはとまどいます。ただでさえ無理矢理戦いに引きずり込まれたわけですし、最初は傍観者だったから自分を守ることしか考えなかったんですね。それが、大義の為に生きる敵・味方を見ているうちにみんなちょっとずつ想いがかわってくるのです。
そんなとまどいを隠しつつ、戦いに呑み込まれていく姿を追っていると、どうしても先日のテロ事件を思い出してしまいます。自分の命をも懸けられる大義って何なんでしょうか?ちゃらんぽらんな私には絶対理解できないものなのかなと思ったり、でもそういう考え方に支えられた某国とつきあわなきゃいけないから大変なのよね・・と思ったり。しみじみといろんな事を考えさせられてます。 |
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【楽天ブックススタッフ 瑞】 |
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